第2話

文字数 871文字

その翌日、中学生の木梨と倉木がいる1年5組の教室全体に
張り詰めた空気が漂っている。
それもそのはず、まだ入学式から3日しか経ってない。
杏は自分の席に座る。鞄から本を取り出し、しおりを外すと早速ページをめくる。
すると自然に肩の力が抜けて、本の世界へ沈み込んでいく。

「もう5時間目の学活は始まっている、着席している時間だろ。」
淡々と告げる担任の目が教室を見渡す。
杏はその声で顔を上げ、ようやく先生が現れた事に気付いた。
それから本に目を落とし、机上に置いたしおりをそっと挟み込む。
休み時間のざわつきが次第に遠のき、生徒が席に着いて授業が始まる。

先生はざわついてる間、何をするでも無く教卓の椅子に腰掛け、
着席した事を確認すると腰を上げた。視線は遥か遠く、生徒と目線は合わない。
「君達には2つの注意事項を言っておく。
1つ目、今は注意をしたがもう中学生だから自分のことは自分で責任を持つ事。
先生に頼ってばかりは良くない。
2つ目、自分の問題は自分で解決する事。人に迷惑はかけないようにな。」
淡々と言い放ちながら、チョークを手に持つ。
「今から委員会を決めなくちゃならない。黒板に委員会名を全て書くから、
入りたいところに自分の名前を書いてくれ。」
教室内は不満の声でざわつく。
先生はそんな中黒板と向き合い、黙々と白い文字を残していた。

生徒達はしばらく経つと、黒板へと動き出す。
杏もそれを見て、椅子から立ち上がり黒板へと向かった。
杏は図書委員という文字の下に自分の名前を書いてまた席へと戻った。
着席した後は窓から見える青空を、ただぼんやりと眺めていた。

学活の時間は刻々と何となく過ぎて行き、
図書委員は先生がカウンター当番の仕事を強調して説明したせいか
杏と中谷啓という男子ですぐに決定した。
その中谷啓は男女問わずいろんな人と仲良さげに話しているので、
図書委員の印象は無く意外ではあった。

他の人気のあった委員は、投票で雰囲気の良い子に決まる。
落選者は他の委員に収まるという形で授業終了の鐘が鳴った。
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