第5話

文字数 734文字

早いような遅いようなで新緑の季節、5月。体育祭が間近となっていた。
「今日も昼休み大縄の練習だってよ。」
そんなクラスの人の声が耳に入り、今日大縄の練習がある事を思い出した。

「またかよ、めんどくせ。俺跳べるから行く意味無いし。
行くのやーめた。」
投げやりに言い捨てた言葉に、
もう1人がわざとらしい演技めいた口調で返す。

「1人だけ行かないってのは、何だかんだ言っても気まずいだろ。
だから亮のためにも俺、行くの止めておくよ。」
「うわ、何その台詞~。サボる理由に俺を使うなよ。」
ツッコミがすぐに入り2人して笑いながら、教室から出ていってしまった。

何だかずるいと感じてしまう。実際頑張ろうと思ってる人は何人いるのだろう。
ふとそんな事を思った。時計に目を遣るともう練習開始時刻まで僅かだ。
机の物はそのままにして教室を出る。
そして階段を足早に駆け降り、更衣室へ向かった。

急いで着替えて校庭に出ると、女子全員と男子半数が集まっていた。
もちろん、沙耶と舞もいて、楽しそうに何か喋っている。
体育委員は結んであった縄をほどいて長さを調節している。
縄が準備できるまでは大多数の人はだらだらしてるか、ふざけていた。
杏は何とはなしに少し俯いたり遠くを見たりしてた。

「縄ほどけたから、練習始めよー!」と体育委員の女子が元気に言う。
みんな、だらりと返事をしながら決まっている順番で並び練習が始まる。
すると、すぐに誰かが引っ掛かった。
長い髪をポニーテールにしている城田さんだった。
どんまーい!と声がかかり、小さくなりながら城田さんが謝る。

しかしその後も何度も引っ掛かり微妙な雰囲気が流れ始めた。
そんな中、時間も押して来て帰宅することとなった。
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