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文字数 817文字

 その男は、何かしらのチェックリストを、
手に持っていた。

「合格って。あなた誰です?」

と聞くと。

「あなたが、これから一緒に働くダニー織部の開発スタッフの川上です。どうぞ宜しく」

と言った。衣雷はその時、えっ?!とようやく気が付き、ダニーを見た。

「まさか、こいつがロボット?嘘でしょ」

 それしか言えなかった。そのロボットは、
どこをどう見ても、人間にしか見えなかった。
しかも、手も人間のそれだったし、暖かかったし、人間の皮膚感があったのだ。
 そんな衣雷を放っておいて、川上博士は、

「HNー3000。ダニー織部、刑事ロボットです。HNはヒューマノイドの略です」

と言った。ダニーは、

「人間と思って付き合って下さい。あなたの、全てを吸収するのが私の役目です」

と言った。衣雷は鳥肌が立っていた。
 簡単な説明を受け、衣雷は不貞腐れた様に、ダニーを連れて。今、捜査している殺人現場へと向かった。
現場百遍、それが衣雷のやり方だった。
突然、何かが閃いたりするものなのだ。
それにロボットが一緒なら、何か見逃したものを見付けるかもと。仕事の鬼の衣雷は、弱点を見付けて下ろす作戦を完全に忘れていた。

「殺人事件だ。お前は人の死体・・・何ともないよな。もう無いけど」

「はい、大丈夫です。検死も出来ますので。
後で資料を送信してもらいます」

と言う織部に衣雷は、

「じゃさ、何か見付けてくれ。お前の特殊能力でさ」

と言うと。織部は困った顔をして、

「あなたのアシスタントが使命です。捜査は、まだ憶えていません」

と言った。

 バカバカしいとは思ったが俺は、

「俺はお前の能力が知りたい。そうでないと、アシスタントとして使えねぇだろう。
それとも、お前は記録係と運転手か?」

とイライラしたように言った。すると織部は、

「あなたが、私の事を快く思っていないのは、知っています。私はあなたの、不都合には成りたくないのです」

と哀しげな顔をした。
 何で、こんな機能がいるんだよ。
顔を一々変えやがって。
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