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文字数 708文字

 そして、いつから行ってなかったっけ、と思ってしまった。最近の若いのは酒を飲まない。
飲まない事もないのだろうが。
俺の様な、おっさん先輩の誘いは決して受けない。友達とは飲むのだろうな、と寂しい思いをしていたのを思い出した。俺は、

「ところで、何か手掛かりは掴んだか?」

と織部に聞くと。

「はい、いくつか・・・」

で言葉を切った。
 俺は、ふん?と思っていると。
織部はこの居酒屋の、全ての人の会話を聞いているのだなと理解した。

「おい!聞いているのか?」

 俺は、どちらとも取れる言葉を吐いた。
すると、

「聞いてます。何人かの人間は、嘘をついていました。知ってて黙っていた様です。あくまで顔の表情や体温や汗、その他の状況からの判断ですので。65%の確率ですが」

「はあぁ〜。そう言うのは、本人の前で言って欲しいね」

と言うと。

「私はアシスタントです。あなたの捜査の邪魔はしません」

「そして、協力もか?」

 俺はビールをあおった。何だか、いつもよりペースが早い。

「協力はします。ですが、1つ厄介な事があります」

「何だ?言ってみろ。科学者が言ったか?
あの川上だったっけ、変なおっさんか?
それとも警視総監か?まさか、総理大臣じゃ
ねぇよな」

「いえ、根本的な事です。まあ、川上博士と
言っても良いのかも知れません」

「何だ?言え。命令だ!」

 俺は、ロボットを使う時の言葉を思い出した。命令だと言えば、大抵言う事をきくと聞いたが・・・。で、ハッ!とした。織部は、

「私は人を傷付けられません。
たとえ、あなたが他の人に襲われてもです」

啞然!とした。
 こいつは・・・、本当の捜査のみのロボット刑事なのだ。背中を預けたら、大変な目に会うのだなと、俺は冷や汗が出た。
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