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文字数 719文字

 抗争に巻き込まれる程の、大物ではないのだがな・・・。何とも納得がいかなかった。
 と俺達は兎に角、聞き込みをするぞ、と辺りの飲み屋を訪ねた。
早い時間で殆ど開いていなかったが。定食屋や昼から飲ませる店に、色々聴き込んだ。
 織部は特に目立たず唯、付いてきていた。
時間が定時になった。俺は最近の若い者と仕事をしていて。定時が頭から離れなかったのだ。
 織部に振り向くと、

「帰っていいぞ。ロボット法で定時に帰るんだろ?」

と言うと。織部はニッコリ笑って、

「残業します。私には、活動限界時間が有りませんので」

と答えた。その意味するところは、奴はとんでもないエネルギー源、エンジンを持つということだ。嫌だな核かな?
 今更、この御時世、核エネルギーに不安は無いのだが。何となく嫌だった。
 そこで俺は、

「じゃ、酒でも飲むか?歓迎会だ」

とロボットなら、帰りますと言いそうな事を言った。すると、

「良いですね。一度飲んでみたかったのです。酔いませんが」

と言った。参った完璧だよ。お前はしょぼくれた、おじさん刑事の介護役にピッタリだよ。
まるで、そう言う仕様なのかな?とすら思った。
 俺は、飲み屋がちらほら開く時間だったので。歩いて自分の行きつけの居酒屋へと、織部を連れ込んだ。
 店に入り、確か説明では飲んだり食ったりは出来るが。容量が決まったボックスに入れるだけで。消化や吸収、ましてや排泄などしないと聞いたが。

 さて、では新人イビリ。どこまで飲めるか、確かめてやるかと。私はイタズラ心でニヤニヤした。
 だが奴は、俺が頼む焼き鳥やおでんや揚げ出し豆腐に枝豆など。存外、平気に食べたり飲んだりしていた。
 俺は少し酔いも手伝って。まるで人間の新人と呑んでいる気分だった。
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