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文字数 844文字

 場所が場所なので、喧嘩か何かと思わせる為捨てたらしい。被害者A(沢田)は、銃でも
ナイフでもなく撲殺だった。
 (検死報告を見たそうな)
つまり、殴りすぎて殺してしまったのだろう、との織部の見解だった。
 こいつは、やり過ぎるとか人の感情とか理解出来るのだろうか?
ましてや、怒りやメンツなんてのは、想像すら出来ないのではないか。

 本当にロボットか?
俺は疑いたくなってきた。考えてみれば。
こいつが、こりゃロボットだなと思える事を、言ったりやったりしたところを、未だに見たことが無かった。
 だが、苛めにも似た壮大なドッキリをやる程警察も暇ではあるまい。
 俺は車の中でニヤニヤしてしまった。

 そして何でこいつは、車の運転をしないのだろう?免許無いのかな?と、意味もない事に
拘ってしまった。そこで、

「お前さぁ〜、先輩に運転させてるけど。
免許ないの?」

と聞くと、

「はい」

と答えた。

「いるの?」

「当然です」

「何で、ロボットだろ。誰よりも運転は上手いんじゃ」

と聞くと、

「はい、カーチェイスなら自信あります」

と冗談の様な事を言ってきた。俺は、

「あはは、あはは」

と大笑いしてしまった。
カーチェイスなんてのは、アメリカ映画の世界だと言いたいが。最近は、この日本でもたまにあるから侮れない。
 やはり、おじさんにはキツイ世の中になってきやがった・・・。
 さて、ビルに着いて入ろうとすると織部が、

「ここは・・・」

と言い出した。何だ、何だ怖気付いたか?
と訝しがると。

「すみません。強電磁バリヤーが張ってあります。私は近寄れません、30分が限度です」

と言った。

「はぁ?まあ、良いや。兎に角、聴音機で俺の動向を聞いていて。危なくなったら・・・
兎に角、やって来い。警察だ!包囲されてるぞとか、怒鳴りながらな。ドアは蹴破れ。
それぐらい出来るだろう」

と言うと。

「分かりました。肝心なところで、お役に立てなくてすみません」

と済まなそうな顔と返事。
 俺はニッコリ笑うと、

「誰でも、無理な仕事はあるもんだ」

と、俺は1人事務所へと向かった。
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