[祈りの歌]
文字数 190文字
少女は歌う祈りの歌を
広大な砂漠の真ん中で
ただ一人、吹き荒ぶ風に
薄緑色の長い髪と
白いドレスをはためかせ
だが、その汚れを知らぬ顔には
悲痛さはなく
嘘偽りを発したことのない赤い唇は
何か歌のようなものを紡いでいた
水晶のように透明で
ガラスのように繊細な少女の声は
時折吹く強い風によって
かき消されてしまう
それでも少女は懸命に歌を歌う
まるで歌を歌うために
存在しているかのように
少女は歌う祈りの歌を
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