[青く高い空]

文字数 314文字

雲一つ無い青く高い空を
一羽の白い鳥が翔んでいた。

白い羽を力強く
優雅にはばたかせ翔ぶ姿に
僕はいつの間にか見惚れていた。

何モノにも縛られず
ただひたすらに果てしなく
遠い世界を目指す鳥の姿を
見つめていると
自分がいかに小さい存在かを
気付かされる。

「僕も連れていってくれないか?」
思わずそう呟いたとき、
鳥の発した高い鳴き声が
僕の耳に入った。

その水晶のように繊細で
透明に透き通った声は
僕に自分の力で
果てしなく遠い旅路を歩いていけと
言っているように聞こえた。

僕は、いつの間にか頬を伝っていた泪を
指で拭うと、鳥の姿から視線を外し
しっかりと前を見つめ
その場所から旅立つために最初の一歩を踏み出した。

「さようなら」と心の中で
白い鳥に別れを言いながら。
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