久留米レンジャー隊 隊長代理・中島真一 (2)

文字数 1,018文字

 昔の映画の「フレンチ・コネクション」で、こんなシーン有ったよなぁ……。
 俺が、コンビニで買った菓子パンとペットボトルのコーヒーを口にしながら見張ってるのは、高級レストランじゃなくて焼肉屋だけど。
 とは言っても……焼肉屋としては、かなり高級な店だ。
 俺の給料だと……ボーナスか危険手当が出た時以外に行くのはちょっとキツい。
 クソ……俺もヤクザの手先になろうかなぁ……こんな店にしょっちゅう行けるようになるんなら……。
 あれ?
 ウチの副隊長代理の眞木を脅してる広域組対(マル暴)の猿渡は、焼肉屋の店内に入らず、駐車場でポケ〜っとして……どうなってんだ?
 一〇分ほど過ぎると、猿渡と同じ位の齢の女と小学生ぐらいの子供2人が……歩きで来てるのに、何で駐車場の方に行く?
 女は猿渡の方に向い……やがて、猿渡と何かを話して……。
 そして、店内に入っていくのは猿渡と子供2人。
 女の方は……近くの交差点を横切って、バス停の前に……。
 猿渡の知り合いか家族なんだろうが……どう云う関係だ?
 と思ってる所に、絵に描いたような「黒塗りの高級車」が焼肉屋の駐車場に入る。
 ご丁寧に車の窓ガラスも色付きの外から中が見えないタイプの……って、おい。
 黒塗りの高級車から出て来たのは……白いダブルの背広に暗めのワインレッドのYシャツにピンクのネクタイ……長めの髪をポニーテールにした、やたらとガタイのいい中年男。
 嘘だろ……。
 変身能力者系の異能力犯罪者の中では……下手したら九州最強の男。
 安徳グループの中でも殴り込み専門部隊である「安徳セキュリティ」の№2である久米銀河だ。
 変身前でさえ、俺達レンジャー隊一個小隊……それも強化服を着装した状態の……を、あっさりブチのめせる化物だ。
 変身後ともなれば……奴に対抗出来る個人兵装は「正義の味方」「御当地ヒーロー」達の秘密兵器「護国軍鬼」ぐらいしか無いだろう。
 ん?
 どうなってる?
 久米のヤツも駐車場で誰かを待ってるような……。
 まぁ、久米の方にちょっかい出したら……命がいくつ有っても足りない。
 俺は、車を降りると……バス停の方に向かい……。
「あの……猿渡捜査官のお知り合いの方ですか?」
 俺はそう言いながら、猿渡と話していた女に警察手帳を見せる。
 ただし……表紙だけ。所属警察機構(カイシャ)の名前は指で隠す。
「は……はぁ……そうですが?」
「猿渡さんの勤め先の人事部監査課の者です。ちょっと、猿渡さんの事でお聞きしたい事が……」
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