第八章 悪魔憑きには夢いっぱい!?

文字数 907文字

円卓に導かれし者よ、我の願いを叶えよ! 遊楽と浪費に明け暮れる悪魔ナナミを我の下から立ち去らせ………………………………
なーにしとんねん。うちをどうしたいって?
ひいっ!? ナナミ! コンビニに行ってたはずじゃないのか!?
コンビニでプリン仰山買うて来るつもりやったんやが、駅前に新しく新装開店した焼き肉屋がチラシ配っておってな。この店で食おう思うて戻ってきたんや。
なんで戻ってくるんだよ! その焼き肉屋に勝手に行けばいいじゃないか。
阿呆が。一人で行けば、うちの小遣いから出さなきゃならんやろうが。なんでやねん。小太郎の奢りやろ。
そんな殺生な!!!!!
はよ行くで、モタモタすなや。急がんと小遣い増やすぞ、おお!?
ひいいいっ! 参ります、参りますから!
……ちなみに、うちを立ち去らせようとするどないな呪文も無意味やで。無駄なことはヤメときや。悪魔付きの人間は、すぐに誤解してしまう。自分が悪魔を使役しておるんだっていうな。本当は逆やねん。悪魔側が、人間を操っているというのが実像やないの。
じゃあ俺は何のためにナナミを呼び出したんだ!?
そら小太郎の場合、結婚という目的を達するためやろう。そのために寿命10年差し出したんやからな。だいたい悪魔側が人間をコントロールしようとする理由は他でもない。その人間の望みを叶えるためには、どうしたって無理強いさせる場面が必要やからや。悪魔のほうかて目的を達してもらわんと、契約は終わらないわけやからな。うちら悪魔っていうのは、下品な人間どもと違って約束は守るし、義理堅いもんなんやで。
悪魔付き……実にそそるシチュエーションだが、その実態は、タダメシ食らいのニートが勝手に家族になったみたいなものじゃないか。もう勘弁してくれ…………。
まあ、うちは悪魔といっても、心は天使みたいなもんやからな。しっかり小太郎の願いを叶えたろ思うて結構努力しとんのや。ほら行くで、焼き肉屋!
婚活では1年も無駄にし、挙げ句の果てには浪費上等のニート扶養家族が……。もう夢も希望もねえよ………………。
次回、悪魔ナナミとマスター小太郎の対立不可避!?
生活費の過酷な奪い合いで血みどろの死闘が…!?

第九章へ続く――!
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登場人物紹介

【大悪魔ナナミ】

ひょんなことから小太郎が呼び出してしまった大悪魔。
マスター小太郎の寿命10年と引き替えに、婚活の成功を引き受けた。
自称、8歳。
自称、豊穣の神として長らく信仰の対象だったことがある。
自称、地球の過去や未来を知り尽くす、人智を越えた鬼神。
自称、森羅万象に精通した宇宙史上最も尊い存在である。

【速水小太郎】

33歳、年収350万、171センチ、体重62キロの婚活難民。
中堅企業に勤める普通のサラリーマンだが、優れた技能を持つわけでもなく将来は危うい。
結婚相手となるべき18歳の美少女(処女)を追い求め、婚活戦場を駆け巡る。
自称、いにしえの歴史を持つ秘密結社『蒼の十字団』総統で、重度の中二病でもある。

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