第五章 男は奴隷で卑賎な下層民!?

文字数 1,409文字

――待ってくれナナミ、男は結婚を止めておいたほうがいいってことはわかった。それでも何だかんだで、まだ結婚している人の割合のほうが高いじゃないか
小太郎よぉ………………オドレは世間体や常識に雁字搦めに縛られて生きたいマゾなんか? 空気に流され騙されて結婚させられてる情けない連中より、強い意志を持って自分の生き方を貫き通すほうがよっぽどええやないか。
だがナナミが言うように結婚が契約であるのなら、破棄だってできるはずだろ。もしまったく愛情がなくなって、関係を続けることができないのなら、別れるという選択肢があるじゃないか。今は離婚率だってすごいことになってるんだろう?
まあ3組のうち1組は離婚しとるみたいやな。ただ、新しい夫婦の離婚は多めになりがちやから、実感としては半分近い夫婦が離婚を選択すると見ることもできるのかもな。だからこそ離婚を安易に考えがちだが、そんなヤワなもんやないで。
契約破棄できる方法があるんだから、そんなに難しく考える必要もないだろう。
小太郎には財産なんて何もないから、そう安易なことが言えるんやろうな。せやけどな、まともに結婚できる男っていうのは、今の時代、平均以上の年収や資産を持っているもんや。ということは、そう簡単に抜けるに抜けられない状況にもなる。
抜けるに抜けられないってどういう意味だよ?
ある有名実業家が、女を見初めて結婚した。それから女は仕事を辞め、ショッピングやランチに時間とお金を散在するようになる。有名実業家はほとほと愛想を尽かして離婚を申し出ると、女から慰謝料10億円を請求される結果となった。
そんなの特殊なケースだろ
ちいとも特殊やないで。プロ野球選手ダ○ビ○シュなんかは、セレブ生活に明け暮れる妻にほとほと困り離婚を争ったところ、養育費として年2400万円を払うように裁判所から命じられた。子どもが成人するまで20年間払うとすれば4億8000万円や。
働いている旦那に対して、妻はセレブ生活……
こないなケースは世界中にゴマンとある。興味があれば、ちょっと調べるだけで山のように悲惨な事例を見ることができるやろう。
嘘のような本当の、もっと酷い話もゴロゴロあるで。私的なDNA鑑定で托卵が発覚しても、法律上の親子関係は簡単に解消できるわけやない。信じられないかもしれないが、他人の子どもに養育費を払わなければならないケースまで出てくるわけや。
托卵って何だ?
せやから女が、旦那とは別の、他人の子どもを産むってことや。
そんなことありえるわけ……
そう思うなら、そうなんやろうな。自分の脳内は自分のものや。好きなように妄想しとけや。
………………………………
一方で、この逆のケースはほとんどない。そりゃ犯罪や暴力があれば話は別だが、ごく普通の離婚やと、男が一方的に女に払わされるだけや。酷いもんやで。人間なんぞに生まれなくて、つくづく良かったわぁ。
男って、完全に差別されてるんだな…………
少なくとも男にとっての結婚は、リスクとデメリットしかないと言い切ってもええやろ。伝統とか、しきたりとか、ワケのわからないものに洗脳されているのなら、うちは別に何も言わん。だが、まともな理性があったら、普通、結婚なんぞ選択せえへんわな。もう一度言う、男は結婚しないほうがええ。
そ…………そんな……バカな…………
次回、マスター小太郎最大のピンチ?
悪魔ナナミの攻勢に完全沈黙なのか…………!?

第六章へ続く――!
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登場人物紹介

【大悪魔ナナミ】

ひょんなことから小太郎が呼び出してしまった大悪魔。
マスター小太郎の寿命10年と引き替えに、婚活の成功を引き受けた。
自称、8歳。
自称、豊穣の神として長らく信仰の対象だったことがある。
自称、地球の過去や未来を知り尽くす、人智を越えた鬼神。
自称、森羅万象に精通した宇宙史上最も尊い存在である。

【速水小太郎】

33歳、年収350万、171センチ、体重62キロの婚活難民。
中堅企業に勤める普通のサラリーマンだが、優れた技能を持つわけでもなく将来は危うい。
結婚相手となるべき18歳の美少女(処女)を追い求め、婚活戦場を駆け巡る。
自称、いにしえの歴史を持つ秘密結社『蒼の十字団』総統で、重度の中二病でもある。

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