第2話

文字数 947文字

堀木が床についてから30分程経った頃であろうか、たかひろが懐に潜り込んできた。

「ねえ、堀木さん、まだ起きてますよね?」

たかひろは小声で堀木に声をかけた。

返事がない。

堀木はこのまま無視を決め込んでしまうつもりでいた。

明日も仕事があるのに、いちいち彼の相手をしていたら明け方までかかってしまうからだ。

諦めてこのまま寝てくれないだろうか、などと考えていると、たかひろは堀木の体に足を絡めながらしなだれかかり、パジャマの上から乳首を弄び始めた。

太ももに、熱くて硬いものが乗っている。

ああ、こいつ、勃起してやがる。

やれやれ、また今晩も相手してやらないといけないのか…。

堀木は太ももの方へ手を伸ばすと、スウェット越しにたかひろのペニスを掴んで、ゆっくりと愛撫し始めた。

「なあんだ、やっぱりまだ起きてたんじゃないですか。
寝たふりなんてしないで、もっと触ってくださいよ」

たかひろは息を弾ませながら白い歯を見せて笑うと、腰を動かし始めた。

「あのなあ…別にいいんだけど、抜ければ誰でもいい訳?
なにも俺みたいなおっさんとやらなくても、それこそ風俗行ってカワイイ女の子抱いて来ればいいじゃん」

堀木は内心、たかひろの欲の強さに呆れていた。

彼には男も女も見境ないのだろうか。

節操などひとかけらもない、欲望に支配された男。

「えっ…?
堀木さんまでそんな事言うんですか?
おいら、好きな人としかしたくないのに…」

たかひろは寂しそうに言った。

堀木はたかひろの言葉に耳を疑った。

酔っ払いの戯れ言だと思いたい。

「それは、どういう意味?
好きな人としかしたくないって言うけど、今のお前の行動と、言葉が伴ってないよね。
それとも、お前は俺のことが好きだとでも言うの?」

堀木は体を起こすと、たかひろの目を見つめて静かに問いかけた。

「もちろん、あなたのことが好きだからしてるに決まってるじゃないですか。
でも、迷惑だったんですね…ごめんなさい」

たかひろは涙を堪えようと、必死に瞬きを繰り返していた。

「ごめんな、たかひろ…お前のこと、誤解してたよ…。
節操のないやつだと思って、無神経なことを言ってすまなかった」

堀木はたかひろを抱きしめて、彼の背中をさすってやった。

たかひろは黙って肩を震わせていた。

壁にかかった時計に目をやると、時計は1時を指していた。
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