第5話

文字数 469文字

そんな日の夜はたいてい散々なことになる。アクタガワはぐでんぐでんになりながら、彼女きどりの勘違い女からはやく両親に会ってほしいと決まって迫られるのである。そんなときは決まって「あかん、あかん」と言いながら千鳥足で夜の道を歩き、通りかかった警官を捕まえては「こっから11光年離れた星にはどういけばええ」と尋ねる。すると警官の数が増えて、たいてい警察署で朝を迎えることになるのだ。

 実際のところ、ぼんやり夜空を見上げている時の彼は、本当に優しい顔をしていた。30年というのはどこへ現地調査しに行ったにしても長い年月だが、サブカルチャーが充実し、豊かな想像力に溢れる日本人は地球の中でも格段に面白い民族だ。

 そのうちやることがなくなって日本に飽きたら、そのうち仲良くなった同業種の友人に頼んで、空飛ぶ円盤にのせてもらう。こうやって、仮にいま財布の中に300円しか持ち合わせがなくとも銀河の果てを見て回ることができる。
 たったひとつの問題はこの星が他の星に比べたら気の遠くなるほど退屈で、同業種の友人がなかなか見つからないことだった。
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登場人物紹介

二方ヘイジ

7月に入っても未だ内定0の就活生。

または、Fラン大学四年生。

これといって特徴もない。

アクタガワ

大学六年生で実は宇宙人。

ヘイジとは、インカレのサークルで知り合った。

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