第8話 真実

文字数 1,107文字

 そんなことを想い出していたらリンが大声で美葉の名前を呼んでいた。
「Miha! Miha!」
美葉は慌てて
「What happened?」(どうしたの?)
と大声で返すとリンは満面の笑顔で
「We made up.」(仲直りしたよ)
と言った。美葉も満面の笑みで
「Great!」(よかったぁ)
と答えた。そしてメイが渡して欲しいと言っていたと、洋服の入った紙袋を
リンは美葉に渡した。美葉は私もメイに謝らないといけないと思って、リンに
断りもせず一目散にメイの家へ向かった。
「May! I’m sorry and thank you.」
と大声でメイの部屋に向かって叫ぶと、メイは窓から顔を出して
「Miha, I’m sorry too. You are my friend.」
と言ってくれたので美葉も
「You are my best friend. Thank you become friend.」
と答えた。メイは
「You’re welcome.」
とそっと微笑んだ。つられて美葉も微笑んだ。
 美葉はもうメイに誤解させるようなことはしないようにしようと心に決めた。そしてリンに俊を重ねることもしないと心の中で神様に誓った。



 美葉はみんなが仕事に向かうと、楓と二人きりなった。静けさを取り戻しガランとした家の中で楓は
「美葉ちゃん、どう?少しは慣れた?」
と美葉に尋ねた。美葉は
「皆さんとても優しくて・・・。でもホームシックというか100年前に帰りたいです」
と答えた。それを聞いた楓は
「そうよね、不安よね。以前私が『本で読んだことがある』とお話したことがあったわよね?美葉ちゃん覚えているかしら?」
「はい。覚えています。どんなタイトルの本ですか?」
「それが出版されたようなちゃんとした本じゃないの。いまは私しか知らないんだけれど祖父の春日俊が残した多分美葉ちゃんへの想いを綴った手紙のようなもので……。でももうその手紙は残っていなくて、私の頭と心の中だけに残っているものなのよ。だから私本当美葉ちゃんの名前を聞いた時『多分かな?』って思ったの。なかなか言えなくてごめんなさいね」
 美葉は怖かったが、その内容を知りたかった。「あのー」と前置きをし、美葉は深く深呼吸をしながら自分で自分を落ち着かせて
「楓さんが覚えている範囲でいいので、どんな内容か教えてくれませんか?」
と最大限の勇気を振り絞って楓に聞いた。
 それを聞いた楓は
「大丈夫?知ってしまうのは怖くない?」
「怖いですけど知りたい気持ちが勝っています。お願いします」
と美葉は楓に懇願した。楓は表情をキリッとさせて
「わかりました」
と答え俊が書いたものを、記憶を辿りながら話しはじめた。
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