元呪術師の男(1)
文字数 1,708文字
その男は乱暴に喫茶『カミスギ』のドアを開けて入店して来た。
背が高く痩身で、銀髪の坊主頭に
大きな宝石が着いた指輪が両手の指全てにはめられており、存在感、アピールがただならない。
男は
しかし
オラオラ系男はそう言ってサングラスを外す。
呪術師だったサムエラだよ
思わず素っ頓狂な声を上げる
しかしそう言われれば、確かにその魂は
異世界に居た頃は、黒いローブを着てフードを深く被り常に猫背で俯き加減、いかにも人を呪いそうな、そんな恨めしそうな目をしていたというのに、どうしてこんなことになったのか、イメチェンなのか?それとも人間界デビューなのか。
改めて元呪術師の変貌ぶりに驚きの溜め息を吐く
趣味が良いとは言えないが、それでも身に着けている貴金属等はすべて本物の純金や宝石類、値段にすれば相当な額になるであろう。
そこで、ドヤ顔で語り出す元呪術師のサムエラ。
元呪術師サムエラの話に、再び素っ頓狂な声を上げる
まさか一日に二度もこんな声を出すことになるとは、本人も全く思っていなかっただろう。
やれやれといった表情で首を横に振る元呪術師のサムエラ。
そこへちょうど両手にコーヒーを持って運んで来た慎之介が相槌を打つ。
本来コーヒーを運ぶのは、ウエイトレスとして雇われている
コーヒーを出す慎之介を、斜に構えて一瞥するサムエラ。
いつもの如く慎之介は苦笑するしかない。