第8談 カタカナ表記の奇々怪々

文字数 1,645文字

こんにちは。

今日はちょっといつもと趣向を変えて言葉……というか文字の話です。

先日、自分の誕生日に家族(子供達)がスパークリングワインを贈ってくれました。
いつもならシャンパンの定番モエ・エ・シャンドンにするところ、この2〜3年F1グランプリのシャンパンファイト——シャンパンじゃなくなったのでスパークリングワインファイトと言うべき?——でお馴染みになった、イタリアの老舗フェッラーリのスプマンテ(スパークリングワイン)を指名買い。
味の方は、私はモエの方がやっぱり好きだと再認識しましたが、このワインの銘柄を「フェラーリ」と私がSNSに書いたことで、ある方から「フェラーリはクルマの名前。スプマンテはフェラーリじゃなくてフェッラーリです」とご指摘を受けました。
それで私の頭は???となってしまったのです。何故ならF1のコンストラクターで老舗のスポーツカーメーカーはFerrari。百年以上の歴史を持つイタリア産高級スプマンテのメーカーはFerrari。
そう、綴りは全く同じなんですよ。
フェラーリがF1で優勝するとフェッラーリのスプマンテで祝杯を挙げるわけですが、因みに両社は全く無関係で、創業者がエンツォ・フェラーリとジュリオ・フェッラーリと、同じ姓を持つだけですが。
それにしても、実際は同じ名前なのに何故に日本ではここまでブランドによってカタカナ表記に拘るのかちょっと可笑しくなりました。

カタカナ表記のおかしさに違和感を覚えたのは中学生の時。
私たちの世代は「ヘボン式ローマ字」というのを習いました。これはジェームス・カーティス・ヘボンによって考案された——とのことですが、このヘボンさんの苗字はHepburn。つまり、オードリー・ヘプバーン(Audrey Hepburn)と同じ姓なんですね。
でも、誰もジェームス・カーティス・ヘップバーンとは言わないし、オードリー・ヘボンとは呼ばない。
この問題、俳優やミュージシャン、アスリートのカタカナ表記は、度々ファンの間で論争を巻き起こしました。何しろ掲載される雑誌やメディアによって表記が違うのですから。しかし、最近はwikipediaのおかげで少し収まった気がします。

もう一つカタカナ表記で私が気になるのは、ダイハツの商用軽自動車——軽トラや軽のバン——ハイゼットのこと。
ハイゼットはHIJETと書きます。今の人なら「ハイジェット」と読みますよね? でもこの名前は、高性能を意味する「HI」と、超小型を意味する「MIDGET」をそれぞれ組み合わせた造語だそうで、だから「ハイゼット」であって「ハイジェット」ではないそうです。
私より少し……というかだいぶ上の世代、戦前生まれの人の中にはカタカナの小文字を発音できない方が結構いらっしゃいました。「ャ」もそうですが、特に「ィ」とか「ェ」の母音が苦手だったようです。
そう言う方が発音すると、「ザッキー・チェン」とか「デズニーランド」とか「デスコ」とか。「ジェット機」と言おうとすると「ぜっとき」になってしまいZ旗と区別が付かなくなってしまう。(笑)
年寄りを馬鹿にしてはいけませんが、クルマを運転していて前に「HIJET」のエンブレムを見ると、ついついそういう人々を思い出してしまうのです。

そもそも英語やフランス語やイタリア語といった外来語をカタカナで表記すること自体無理がありますがら、カタカナ表記にそんなに拘ることはないんじゃない? とは思いつつ、ネット上の通販サイトなどで商品説明にこんなカタカナを見ると、私もつい校正したくなってしまいます。
「トートバック」
「ドックフード」
「二段ベット」
「ディスクトップコンピューター」
「シュミレーション」

俳優の田辺誠一さんが作ったショートムービーに『ヤ』という作品があります。興味のある方はどうぞご覧ください。笑えるかどうかはその時の気分次第?


老人は死なず、DeathはデスだけどLiveはリヴじゃなくリブでいいんだよね? ライブとも言うけど
(2023.5.26)
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