第97話 お母さんがタヌキになったと思ったみーちゃん

文字数 583文字

 今日のみーちゃんは小学校からより道をしないで、まっすぐおうちに帰ります。

 「ただいまー!」

 茶の間に入ると、お母さんが白地に赤い水玉模様のキューピー・マヨネーズのエプロンをしたまま、藍色の布地のソファーに横になっています。

 ──あれ、なんで、お母さんがいるんだろう?お仕事があるはずなのに、おかしいなあ?なんで?

 みーちゃんは赤いランドセルを背負ったまま、眠っているお母さんに近よって顔をじーっと見てみます。

 ──わかった!ここにいるのはタヌキなんだ!この間、渡辺さんちの物置小屋にタヌキが隠れていたっておじいちゃんが言ってたもん!うちにも入ってきちゃったんだ!どうしよう、どうしよう、どうしよう!タヌキがお母さんをどっかにやって、なりすましてるんだ!

 そのとき、お母さんのまぶたがぴくぴく動き、「うーん」と背伸びをして目を覚まします。

 「あれ、みーちゃん、帰ってたの?おかえり。早かったのね」。

 ──やっぱりタヌキだ1だって、お母さんがこんなにやさしいことを言うはずがないもん!お母さんなら、「またより道してきたでしょう!」って言うにきまってる!お母さんはもういないんだ!これからタヌキと暮らしていかなきゃいけないんだ!どうしよう、どうしよう、どうしよう!

 タヌキお母さんに正体を知っていることを見破られずにするには、どうしたらいいかと悩むみーちゃんなのです。
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