第95話 お父さんにお母さんとの出会いの話を聞くみーちゃん

文字数 579文字

 今日のみーちゃんはお父さんにお母さんとの出会いの話を聞きます。

 雫石スキー場のゴンドラは2人乗りです。乗っている時間が長いので、みーちゃんはお父さんとよくおしゃべりをします。今回はお父さんの恋の話を聞くことにします。

 「初恋?」

 「そう、初恋」。

 お父さんはざっくばらんな人ですから、みーちゃんのこんな質問にも困りもせず、あっさりと答えてくれます。

 「初恋はね、高校のころ、図書館のカウンターに座っていた女の子。いいなあと思って足しげく図書館に通ったな~」。

 「ふーん」。

 みーちゃんは、せっかくですから、前から興味があったことを聞くことにします。

 「それじゃあね、お母さんとはどうだったの?」

 お父さんはざっくばらんな人です。

 「お母さんとはね~汽車の中だな」。

 「汽車の中?」

 「そう、汽車。通勤の時にね、見かけたんだよ。いつも同じ汽車に乗ってたんだよ。それで、あ~、いいな~、ステキだな~と思ってね、友だちに紹介してもらってさ、お見合いしたんだよ」。

 ──わお~、ロマンティック~。

 みーちゃんがうっとりとしていると、お父さんの顔色が曇り始めます。

 「でもね、あのときは、やさしそうに見えたんだけどね・・・」

 そうつぶやくと、お父さんはため息をついて、ゴンドラの外に目をやります。

 ──確かに・・・

 遠い目をするお父さんに共感するみーちゃんなのです。
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