第107話 眠る瞬間を確かめるみーちゃん

文字数 591文字

 今日のみーちゃんはかんたんに眠るわけにはいきません。

 みーちゃんは、前から、眠る瞬間がわからないのがふしぎでなりません。いつの間にか眠ってしまっていて、目を覚ましても、いつ眠ったのか覚えていないのです。

 ──今日こそ、ぜったいになぞを解くんだ。眠る瞬間がどんな感じなのかを確かめちゃうんだ。

 目を覚ました瞬間は覚えています。浪板海岸で海水浴をした帰りのときだってそうです。おかあさんから「みーちゃん、おうちに着いたわよ」と起こされたとき、おとうさんのローレル・スピリットの中だとはすぐに気がつきません。目に見えているものと頭の中がばらばらな感じがします。

 まるで、テレビをリモコンでつけても、見えているのが6チャンネルの『水戸黄門』なのか、4チャンネルのニュースなのかすぐにわからないみたいです。

 でも、そのときだって、眠った瞬間を覚えていません。山道を登っていって、トンネルをいくつかぬけたとここまではすぐに思い出せるのですが、その先になるとだんだん言えなくなってしまうのです。

 ──がんばっちゃうんだ!眠る瞬間がわかるまで眠らないぞ。今眠ったってわかってから眠るんだもん。それまでぜったいに眠らないぞ。がんば・・・るぞ・・・ぜったいに・・・ねむら・・・な・・・・・・い・・・・・ぞ・・・・ぜ・・・・・・・・・・・・っ・・・・・・・・・・・・・・・

 みーちゃん、おやすみなさい。
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