第8話

文字数 1,449文字

待たせたな!お前ら!
おぉ歓声が聞こえてくるぜ、私も末期だな。
何をお待たせしたのかと言いますと、どっかで予告した年に一度発行している学校の冊子に載せた作文だ。有志の作文のため、わざわざ立候補した。内申点稼ぎではないことを宣言しておこう。
この作文は放送委員会の紹介の時の作文に比べて少々深夜テンション感が否めないが、ぜひありのままの私を見てほしい。テーマは、「私の自粛生活」だ。

私の高尚なお話 柴田怜璃
春休みも含め、約3か月にも及んだ自粛期間。あなたはどう利用しただろうか。私にとって、この期間は人生の中で最も長いと言える休みであり、様々な経験を積んだ。近所の公園で霜降り明星の粗〇を見かけたり、近所の三歳年下の少年と同じ身長になっていたことに衝撃を受けたり、素敵な恋人を手に入れたり、は出来なかったが、最初の2つは実現することができた。そして、私の中で中学校という存在がいかに大きなものであるかを実感した期間でもあった。つまりは、私は通学以外に特に趣味もやりたい事もない人間だと気づいてしまったのだ!
これは由由しき事態だ。個人的に緊急事態宣言を発令した私は、自分の趣味を見つけるべく、有り余った時間を駆使し、様々なことに挑戦した。塗り絵のアプリやランニング、料理など未知の分野にも挑戦した。そのため、下降の一途を辿っていた私の女子力がほんの少し上昇した。私にとっては大きな進歩だ。まあ、どれも3日で飽きてしまったのだが。そもそも私は何事にもハマりやすいくせに飽きるのも早い。習い事に最も向いてない人間だと自覚している。いや、自負している。
結局その後もハマっては飽きて、を繰り返して一つの喜劇のようになってしまった。それでも私はこの自粛期間を無駄にしたとは思わない。飽きっぽい自分、というものを知ることができたし、そんな自分を愛し許せる、寛容とも怠惰とも言える自分が好きだからだ。
結局言いたいことは、青春の存在をせせら笑っている内にそれは過ぎ去ってしまうほど、青春とは短く儚いものであり、私たち学生の義務とは、既に3か月のロスが発生している青春を、少しでも謳歌することにあるのだよ、諸君。

ムカつくな。まず題名から鼻につく。何なんだよ、みたいな気分にさせられる。さすが私だ。
皆様は、いかがだったろうか。学校内だったからセーフだったところも少なからずあるな。でも本当に粗〇いたもん!嘘じゃないもん!怜璃、見たもん!
うむ、これも批判されそうなのでやめておこう。
だが放送委員会の紹介の作文の方が、テンポが良くて私個人としては気に入っている。こっちの作文は最後が長いし、読み直さなきゃ分からないところもあっただろう。まだまだ発展途上だ。これは、明日作文2つも提出じゃん、と前日の夜に気づいてハイになった状態で書いていた。書きたいことだけ書いていたのだ。構想を練っていたとはいえ、実際に書くのはなかなかに苦戦した。次からは余裕をもって取り組もうと思う。

だが、つまらない期間だと思っていた自粛期間でも案外私は楽しんでいたようだ。改めて文章化すると、去年の私の姿が思い出されてくる。私は日記をつけるのは苦手だが、こうして過去を振り返って、文章に起こすのは悪くないかもしれない。お勧めだ。死ぬ前に急に自伝を書いて出版しようと思い立った時にも役に立つ。私もそのためにエッセーを書いていると言っても過言では、、、いや過言だが、そういう側面がないとも言い切れない。
死ぬ前の自分を想定して書いてみるのも良いのではないのだろうか。
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