第3話

文字数 1,545文字

解放。安堵。そしてかすかな後悔。
この言葉から皆さんは何を連想するだろうか。
そう、誰もが経験するあの行事、期・末・考・査・だ。
もう一度言おう、き・ま・つ・こ・う・さ・だ!

中学生生活を全うしている私にとっては年に3回、誕生日よりも多くやってくる大事なイベントだ。しかし、大事だからと言って楽しいわけではないのがつらいところだ。
最高学年である今、1・2年の頃とは比べ物にならないほどのプレッシャーがかかるのだ。さらに言えば、中間テストがない私の学校では期末考査の点数が大いに成績に反映されるのだ。もっと言えば、一学期に行った範囲がすべて出題されるため、範囲が多いのだ。ふはははは。

今でこそこの期末考査というイベントの重みを理解しているが、私にも
「期末って勉強する必要あんの?」
などとほざいていた青い時期があった。いや、むしろ、それを乗り越えて今の私があるといっても過言ではないだろう。

そう、それは12歳。春のあたたかな日差しが、真夏の肌に突き刺さるようなそれに変わりつつある頃だった。当時中学一年生だった私の担任は3日に一度ほどのペースで学級だよりを更新していた。ユーモアに富む内容で、毎回読むのが楽しかった記憶がある。私はいつものようにその学級だよりを読んでいた。その時はテスト勉強についての特集で、担任の意見も書かれていた。

普段から授業を集中して聞いていればテスト勉強なんていらない。

彼は学級だよりで堂々とそう述べたのだ。私は、うなぎパイにうなぎが入っていないと知った時以来の衝撃を受けた。その担任を盲信していた私はその言葉を鵜呑みにして、全く勉強をしなかった。全く、だ。ここでもう一度確認しておきたい。彼は、「普段から授業を集中して聞いていれば」という条件付きで言ったのだ。ふっ、もうオチは見えているだろう。

惨敗。

この言葉に尽きる。本当に笑うしかないような点数だった。授業を聞いていなかったわけではないはずなのだが、授業に参加するタイミングが、先生の話が脱線した時だけでは、授業に集中していないのと同じなのかもしれない。しかし、授業中にする雑談ほど楽しいものなどそうそうない。この結果の原因は確実に担任にある、と思う。今でも彼のせいにしているが、教師としては大好きだ。まあ、原因は彼だという事実は揺らがないが。

ともかく、こんな点数を取った一年後、私はようやくテスト勉強をする、ということを学んだ。一年生の時の残り二回の期末考査は何をしていたのか、という質問に対する回答は控えさせていただく。

そして現在、30位以内に入るか入らないかぐらいの順位をうろついている。うむうむ。確実に進歩しているぞ、私。私の乱文を難なく解読している読者様は30位程度で喜ぶなというかもしれない。しかし!人類にとっては小さな一歩だが、私という人間にとっては大きな飛躍だ。おかしい。誰もが知るあの名言の言葉を入れ替えただけなのになぜか規模の小ささを感じさせる虚しい言葉に変貌をとげてしまった。
期末考査は今でも好きではないが、前ほど憂鬱でもなくなった。まあ嫌いだが。嫌いすぎて期末最終日の夜、期末考査終了の喜びをポエムにしてしまったくらいだからな。全く、後で見返したとき笑いが止まらなかったわ。残りはあと一回。最後まで駆け抜けていこうと思う。

最後に、今、試験に苦しめられている全ての学生諸氏に私は叫びたい。今は確かに苦しみの対象でしかないかもしれない。呪詛の言葉を吐きたくなる気持ちもよく分かる。だがしかし、この経験は必ず私たちが成長するうえでの肥しとなる。きっと試験に感謝する日が...いや来ないな。なくなってくれたらこれ以上の幸せはないな。とういわけで言いたいことは一つ。
誰か総理大臣になって試験自体を廃止してくれ!











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