第6話  八王子小宮公園1

文字数 1,137文字

 休日自然観察者の手記 3
 八王子小宮公園1

 12月10日(土) 晴れ、9時30分

 冬にしてはとても暖かく、風もない。

 八王子駅から八王子郵便局方向にむかって10分ほどたったとき、通りの反対側からギ ーギーギーという肩の声が次第に近付いて来たかとおもうと、車道の自動車の上ぎりぎり を波状飛行し、私から1mの距離で目の高さのところをはばたき、あっと言う間に、そば の家の庭木を掠めて飛び去った。

 呆然として庭木をためつすがめつ見ていると、また、通りの反対側遠くにギーギーとい う声が聞こえる。それは通りの反対側の街路樹から、こちら側にわたって来て、目の前の 桑の街路樹の3mほどの高さの主幹にとまった。雀くらいの大きさの鳥で、幹に縦にとま り、コ、ココ、ココ、と音をたてながら木をつついている。少し小さい声でギーと鳴 きいて、移動し、桑の枝のうろをつつくいたかとおもうと、虫をくわえ出し、飲み込んだ。 またギーと鳴き、すぐ目の前50cmに張り出しているよとい枝にとまった。手を伸ばせ ば届きそうである。背中に赤と黒の横縞があり、体重をその短い尾で支えながら、でっ ついている。

 歩道なので、脇を色々な人がとおる。50才位の主婦、OL、自転車の少年たち。ばか んと木を見ている私と、ギーギー鳴いている鳥には目もくれずに通り過ぎている。かれら には、この生き物は見えていないのである。

 少し行くと、浅川を渡り、八王子郵便局側から、沢山の冬の水鳥達が、青い水面にいる のが見える。すぐ下に真っ白な小さいサギがいる。黄色いあしを一本にして丸い石の上に とまり、動かない。また、川の真ん中の浅い所には100羽程のユリカモメ達が突っ立て いて、1羽だけ、倍以上の大きさがあるカモメの種類がいた。かれらは川の死んだ魚が好 物である。その付近を白くてすずめよりやや大きな島が、とても細長い尾を振り立てなが ら、歩き回る。空にはトビがはばたきをせずに旋回する。水面に浮いた魚やねずみを探し ているのだろう。川の向こう側では、小型のカモが6羽仲よく浮いていて、時々くちばし で水面をすすぐ。雄は顔が緑と黄色で賑やかである。川の水に含まれている藻や小型の生 き物を食べているらしい。川の遠くの方では、別の種類の大きなガモが8羽いる。雄は尾 が長く、胸から首にスッと白い線が入っている。やはり水面を晴ですすいでいる。つまり ここでは、草食性のカモと動物食のサギ・カモメ類が仲よく採餌している。突然、サギが 飛び立った。大きく旋回する。いつのまにか数が増えていて、11羽になった。とても優 雅な飛行姿である。なにかに驚いてユリカモメ達が一斉に飛び立つ。猛の姿を大空に 求めるが、点一つ無い青空である。
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