第26話
文字数 1,243文字
「玉江さん。つまりは、ここ天の園では下界と違う時間があるってこと。下界にカップラーメンがあるとするでしょ。そのカップラーメンは天の園にもあって、それは同一のもの。そして、下界ではお湯を入れたてなのに、天の園には……。3分後の未来になっていて美味しく食べられるというわけよ」
助手席のめぐみは訳が分からず喚きそうになった。
「カップラーメンと私がどうしたのよ!? おい、おっさん! 三分後って、私と何が関係あるのよ!?」
隆は混乱しながら、めぐみを宥めながら、
「あの……つまり、めぐみちゃんは下界で高校生の時に死んでしまったと?」
24時間のお姉さんは静かに、
「ええ。恐らくそうなるわね。でも、絶対ではないの。その中友 めぐみちゃんは確かに高校生の二年の時に自動車の居眠り運転の犠牲になっているけれど。あなたは、知ってしまったから、それを阻止することもできるわ。何せその中友 めぐみちゃん・・・天の園にいるほうだけど、もう20年くらいはここにいるのよ」
「20年もですか?」
「そうよ。私、20年もここにいるの。でもでも、ここで車に乗ったのはこれが初めてなの……。カップラーメンのことは置いておいて。さ、早く行きましょ。おじさん」
めぐみが気楽な口調で言ったが。若くして命を失い。この天の園で暇を潰している人生に嘆きが少し感じられた。
「ここは、不思議なところだな……」
隆は電話を切って、軽トラックを発進した。
下には荒地が見えている。
複数のかもめが軽トラックに近づいて来ては、下界の珍しい(といっても、ウインナーと三種のチーズのピザだが)食料をついばむ。
空は雨が降ってきていた。
中友 めぐみを連れてから二日経ったようだ。
隆は天界の雨に片手を出して、掌に水滴を受ける。
「こっちにも、雨が降ってて下界と同じく冷たいんだなあ……」
隆は掌の水滴を見つめて呟いた。
「ねえねえ! あそこに虹があるよ!」
見ると、全方に雨の水滴を彩る巨大な虹が出現した。
その虹の大きさは、ここがどこか別の惑星を思わせるほどの巨大さで、かもめたちも虹に向かっていった。
「おじさん。私、ここで降りるね。下のあの虹のところまで歩いていきたい。楽しかったよ。そして、美味しかった。サンキューね」
中友 めぐみは軽トラックのドアを開けて、遥か下方へと垂直に降りて行った。
隆は虹の大きさに面食らっていたが、中友 めぐみにさよならをやっとのことで言った。手を振り前方の虹へと恐る恐る進む。
軽トラックを虹の中に進めると、かもめも追いかけてきた。七色の一つの赤い色の空間は眩い光を発し、隆の体も軽トラックもかもめも赤い色にした。しばらく進んでいると、雨が勢いを増したように感じた。
いきなり、稲光が虹の中で光った。
隆は急いで車を下の地上へと発進させた。
その時、数本の落雷が発した。
地上へと落ちた落雷は荒地目掛けて吸い込まれる。
いくつかの大きな衝撃音とともに落雷の衝撃で荒地に地割れが出来た。
中友 めぐみは無事だろうか?
助手席のめぐみは訳が分からず喚きそうになった。
「カップラーメンと私がどうしたのよ!? おい、おっさん! 三分後って、私と何が関係あるのよ!?」
隆は混乱しながら、めぐみを宥めながら、
「あの……つまり、めぐみちゃんは下界で高校生の時に死んでしまったと?」
24時間のお姉さんは静かに、
「ええ。恐らくそうなるわね。でも、絶対ではないの。その中友 めぐみちゃんは確かに高校生の二年の時に自動車の居眠り運転の犠牲になっているけれど。あなたは、知ってしまったから、それを阻止することもできるわ。何せその中友 めぐみちゃん・・・天の園にいるほうだけど、もう20年くらいはここにいるのよ」
「20年もですか?」
「そうよ。私、20年もここにいるの。でもでも、ここで車に乗ったのはこれが初めてなの……。カップラーメンのことは置いておいて。さ、早く行きましょ。おじさん」
めぐみが気楽な口調で言ったが。若くして命を失い。この天の園で暇を潰している人生に嘆きが少し感じられた。
「ここは、不思議なところだな……」
隆は電話を切って、軽トラックを発進した。
下には荒地が見えている。
複数のかもめが軽トラックに近づいて来ては、下界の珍しい(といっても、ウインナーと三種のチーズのピザだが)食料をついばむ。
空は雨が降ってきていた。
中友 めぐみを連れてから二日経ったようだ。
隆は天界の雨に片手を出して、掌に水滴を受ける。
「こっちにも、雨が降ってて下界と同じく冷たいんだなあ……」
隆は掌の水滴を見つめて呟いた。
「ねえねえ! あそこに虹があるよ!」
見ると、全方に雨の水滴を彩る巨大な虹が出現した。
その虹の大きさは、ここがどこか別の惑星を思わせるほどの巨大さで、かもめたちも虹に向かっていった。
「おじさん。私、ここで降りるね。下のあの虹のところまで歩いていきたい。楽しかったよ。そして、美味しかった。サンキューね」
中友 めぐみは軽トラックのドアを開けて、遥か下方へと垂直に降りて行った。
隆は虹の大きさに面食らっていたが、中友 めぐみにさよならをやっとのことで言った。手を振り前方の虹へと恐る恐る進む。
軽トラックを虹の中に進めると、かもめも追いかけてきた。七色の一つの赤い色の空間は眩い光を発し、隆の体も軽トラックもかもめも赤い色にした。しばらく進んでいると、雨が勢いを増したように感じた。
いきなり、稲光が虹の中で光った。
隆は急いで車を下の地上へと発進させた。
その時、数本の落雷が発した。
地上へと落ちた落雷は荒地目掛けて吸い込まれる。
いくつかの大きな衝撃音とともに落雷の衝撃で荒地に地割れが出来た。
中友 めぐみは無事だろうか?