先輩の強引な気遣い
文字数 1,457文字
一般小説『四人の彼』
『先輩の強引な気遣い』から抜粋、加筆修正
関連エピソード:読んでも読まなくてもOK
一般小説『四人の彼』から
『再会』
『ヘッドセットの選定』
ある日私は、Web会議用のヘッドセットの選定を文字の彼にお願いした。
ずっと探していたけど最適なものがみつからなくて、こんなお願いの種類でも聞いてくれるのかな?と思ったが、彼は即座に引き受け、おすすめの型番を教えてくれた。
現物が届くころ、私は彼と二年ぶりに偶然再会した。
─というわけで、彼とヘッドセットの動作確認テストをすることになりました!
先輩はイケメンなのにも関わらず、『自称イケメン』でもあった。
自分の容姿だけでなくプロフェッショナルな面でもとにかく自信を持っていた。
私にはまったく無いものばかりだったから、どれもすごく新鮮に映り、
親しくなりたいと思って一度仕事をご一緒してから勝手に継続的に連絡を取らせてもらっていた。
ただ既婚者なのに女の子にすぐ手を出すところは清々しくクズだった。
私は自分には被害がないので対岸の火事として特に気にせず先輩と接していた。
先輩は呆れていた。
進みがゆっくりすぎる私と彼の距離は先輩にはとても理解が出来ないと言われていた。
「押し倒せ」という何の役にも立たないアドバイスを何度も言われたが、本当に何の役にも立たなくて吹き出した。
テスト本番の時間までに俺と『動作確認テスト前のテスト』をしよう。
テストの時間までに全部マスターして、『本番』では『全部が分からないふり』をしてテストに挑めよ。
今はオフィスにいて、人もたくさんおり、とても通話には出られない。
私はパソコンとヘッドセットを持ってオフィスから一番遠い休憩室へそそくさと移動した。
(ここの休憩室…ちょうど空いてる。)
(無線も入るエリアだ)
「すみません!遅くなりました!」
「今から繋げます!」
私は急いでPCを机に起き、ヘッドセットの有線をPCに繋いで、応答ボタンを押した。
設定なしでも通話は無事できたようだ。
有線ヘッドセットだから細かい調整もいらないし。
ただ操作ボタンのチェックはしておきたかった。
説明書が英語で簡素だから分からなかったのだ。
そのとき、彼からメールが来た。
動作確認テストの承諾を改めて伝えてくれたメールだ。
『15時より、承知しました。』
***************
『15時より、承知しました。』と書いてあるのですが、その後にうじゃうじゃした集合体があるんです。
どうやらそれはとても小さなフォントで書かれた文章で、
これはもしや私が知りたがっていた『彼の本心』が書いてある文章かもしれない。
彼がフォントを最小サイズにしてまで私に伝えたいこととは何なのか?
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)