(三)-2

文字数 281文字

 私が脇を通り抜けようとすると、クミンがさっと私の通り道を塞いできた。
「ちょっと、通してよ」
 私は語気強めに言った。
「ちょっと、あんた」
 クミンが言ってきた。
 全員同じクラスだが、私の後ろの席の下赤塚フジオと仲がいい。特にリーダーの上板橋クミンは、フジオに惚れているようだった。本人は口に出して言わないが、傍から見ていれば、一目瞭然で、恐らくニブいクラスメートの男子だって気づいているハズだ。
「あんたフジオと、仲、いいよね」
 そらきた。
 私とあいつとは同じ中学だし、私の席があいつの真ん前であることもあり、あいつにとって私は気安く声をかけやすいのだろう。

(続く)
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