(三)-3

文字数 271文字

 しかし、あいつに惚れているクミンにはそれが気にくわないのだ。まあ、そのうちこういう事態にはなるとは予想していたのだが、それが今来たというわけだ。あー、めんどくさー。
「なんだとてめえ」
 そう言うとクミンは私のセーラー服のリボンの胸の結び目を掴んできた。どうやら私の心の声が実際に声帯を震わせて漏れ出ていたらしい。まあ、面倒くさいのには変わりないし、どうでもいいことだが。
「下赤塚フジオに気があるのか、お前」
 私が周囲に聞こえる程度の少し大きめの声でそう言うと、クミンは少し頬を赤らめつつパッと手を離し「そんなことねえよ」と言ってきた。

(続く)
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み