メロンの話

文字数 895文字

* * *

カレーを食べているときのことだ。
どんな文脈でその話になったのか覚えていないが、
「僕はふくよかな女性が好きなんだ。」
と私は言った。
すると山崎くんが、
「それって胸が大きい人が好きってこと?」
と聞き返して来た。

僕はカレースプーンをテーブルに置いた。

そこから僕は"ぽっちゃり好き"とは何か、について時間をかけてねんごろに自論を語り聞かせた。

ある少女漫画が実写映画化された際、私は劇場でその作品を見た。確かお風呂をテーマにした内容だった気がする。その中で皇帝が技師にこう語るシーンがあった気がする。

おっぱいとローマの在り方は似ている
大きければ良い、というものではない
派手であればよい、というものでもない

ちょっとうろ覚えなのだが、だいたいこんな感じだったと思う。
まさにおっしゃるとおりで、本当に大切なことはバランスなのである。

もし、リンゴの木にメロンがなっていたらどうだろうか…。

「わぁい!メロンだメロンだー」
てなるだろうか。
ならない。そこに醸し出される違和感に立ち尽くすはずである。

アニメの世界ではしばしば存在するかもしれない。
名前が思い出せないが、天下の大泥棒の恋人役の女性がそういったボディラインだった気がする、すなわち、チェスの駒かセイヨウミツバチか、くらいの著しい凹凸(おうとつ)の現実離れした美貌を表現しているのだろうけれども、私には共感できない。

「早く食べなよ」
と山崎くんが言うので私は食事の続きをする。

* * *

ピリ辛のネギラーメンを食べた。

昨晩、私は新宿にいて、でも歌舞伎町やゴールデン街ではなく、もう少し東寄り、歓楽街からやや離れたビルの地下に用事があったので出掛けていった。

用事の前に時間があったので少し足をのばし、近くの店に入った。看板に大きな桃が描かれている中華屋さんだった。

麺も美味しいんだけど、夏場はスープがうまい。

で、再三再四、口をピリ辛にしていっているじゃないか。大事なのはバランスである。勿論、健康のバランスもとれていることも重要だ。
いやむしろ健康であることこそ美であること、なのだし、そもそも異性への美的感覚は”健康”に根差している。

多分ランキング落ちるなこれ。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み