第8話 郷土史の棚
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水戸学っていうのは、水戸黄門が始めた『大日本史』編纂事業をその根に持ち、若き日の吉田松陰や高杉晋作などが水戸に遊学して、感銘を受けて、松下村塾の思想になって、明治維新が起こる、
その発端の学問体系(体系なき体系)なのですね。
水戸藩の場合、水戸徳川であることから、江戸末期は浪士になって参戦する、ということになりました(逆に、新撰組の偉い人にも、水戸藩士がいました)。
実際は天狗党の乱などで藩は人材がいなくなるし、将軍は水戸学の体現者・徳川斉昭の息子なので、無血開城します。
「怨念がおんねんで!」としか言えない。
戦後、水戸学にはGHQも激おこ(笑)。
ちなみに、日本研究で有名なアメリカのシカゴ学派の文献には、『MITOイデオロギー』として有名ですが、日本人、あまりわかってないか、知らないふりをする習わしとなっております。
2.26事件も茨城で起こった血盟団事件が起爆剤になって起こった。
三島由紀夫って、大蔵官僚の家系なのになにが侍か、というと、祖母の家系が水戸藩士だから、なのです。
そういうわけで、最後に書いた『豊饒の海』第二巻である『奔馬』は、茨城県の血盟団事件がモチーフになっています。ダークサイド茨城は、まだまだあるのですが、これくらいで。
そして椹木の棚なのです。コンテンポラリーアート、日本のアーティストが若い頃、水戸芸術館へ集結させたのが、椹木野衣ですね。椹木がキュレーションをつとめたのが、『日本 現代 美術』なのです。書物でもあるけど、もとはこれ、水戸芸術館で行われた展覧会のタイトルなのです。
筑豊炭田を中心に映画を撮っている熊谷博子監督が来て、サインパンフレット(手ぬぐい付き)を置いていってくれて。このパンフレットの映画、観に行ったよ。サラリーマンの方々、みんな劇場で泣いてたよ。単館系の映画だったけど、観ていてしんみりしちゃったなぁ。実はそのちょっと前に、弥勒沢ってところで個人博物館やってたいわき市の有名おじいちゃんが亡くなっちゃってね。で、そのひともその映画に出演してたんだよ。お歳暮を何回かそのおじいちゃんのところに持っていったけど、年々具合がわるくなっていっていてね。でも、映画『作兵衛さんと日本を掘る』では、働いていた人間しかわからない炭鉱内の炭層をコールピックで掘ってたときの再現をやっててね。名物おじいちゃんだから、サラリーマンたちもスーツ着て劇場に来たけど、その姿を観て、みんな号泣!!