67、アンジュー公家(3)

文字数 786文字

「1380年にシャルル5世が亡くなり、シャルル6世が即位した時に義父のルイ1世・ダンジューはベリー公ジャン1世、ブルゴーニュ公フィリップ2世、ブルボン公ルイ2世と共に摂政を務めたわ。でも義父はナポリ女王ジョヴァンナ1世の養子となりアヴィニョンの教皇クレメンス7世の支持を取り付けて南イタリアに進出したわ」
「弟のピエールはクレメンス7世によって叙階され、枢機卿に任命されました。そしてアヴィニョンでクレメンス7世に仕えていた時に突然亡くなりました」
「まあジャンヌ!私たちはフランス宮廷だけでなく、教皇クレメンス7世を支持していたということでも利害関係が一致していたのね」
「そうですね。ピエールは順調に出世すればやがて教皇に選ばれていたかもしれない、でも彼は18歳になる前に突然亡くなりました。原因はわかっていません」
「義父ルイ1世・ダンジューの関心はフランス宮廷での争いよりもナポリでの権利に移ったわ。ナポリ遠征への軍資金を集めるためにパリに重税をかけ、反乱が起きたこともあったの」
「そうだったのですか」
「ナポリではジョヴァンナ1世を暗殺したカルロ3世と激しく戦ったの。でも軍資金が亡くなり、王位を奪えないまま義父は1384年にバーリで亡くなられたわ」
「フランスではなく、南イタリアのバーリで亡くなられたのですね」
「ナポリ王位をめぐる争いはそれぞれの息子、ルイ2世・ダンジューとラディズラーオに引き継がれていった。夫は1389年にクレメンス7世からナポリ王として戴冠され、カルロ3世の子ラディズラーオを追放してナポリを占領した。でも1399年にはラディズラーオにナポリを奪還されてしまったの」
「・・・・・」
「私がアンジュー公家に嫁いで来たのは1400年だった。その時夫はまだナポリをあきらめていなかった。夫ルイ・2世ダンジューはナポリ王位を取り戻す方法を必死に考えていたわ」



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