（三）
文字数 229文字
職場の会議室でミーティング中だった瀬高有紗の携帯電話に、彼氏の松橋明が所属する芸能事務所のマネージャーである荒尾力から着信があった。
有紗が電話に出ると、荒尾の声は慌てた感じであった。低い声色なのにお姉調の口調だったが、ずいぶん慌てていたのだろう、その口調に合わせるかのように声色が高くなり、その上早口だった。
その日の仕事は、次の顧客への提案の内容をどうするか詰めるための会議だった。有紗と同僚の田代弥生とで作成した案を上司に確認してもらうのだ。
（続く）
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