(四)-5
文字数 211文字
明は有紗に心配掛けまいと精一杯気を遣った。しかし同時に、明は台詞のある配役がもらえたことについてチャンスだと考えていた。だからなんとしてもこの仕事はやり遂げたかった。
有紗は明のそんな気持ちにうすうすは気づいていたものの、有紗が明のことをどれほど心配しているかについて明は全く気づいていないとも思っていた。だから明のそんな気休めみたいな台詞に、カチンときた。
「そんなわけないでしょ!」
有紗は思わず怒鳴っていた。
(続く)
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