14 なぜ戦争が始ったの?

文字数 742文字

 みーちゃんは、自分の部屋で、勉強机に向かい、お祖父ちゃんから聞いた話を読み直しています。発表は1週間後ですが、算数のドリルや漢字の書き取りといった宿題が出されるかもしれないからです。
 みーちゃんは、たいてい8時にはベッドに入ります。でも、今日は寝る前にこの宿題をもう少ししておこうと思っています。後になって困らないようにするためです。
 ──忘れないうちに、感想を書いておこうっと。
 とりあえず下書きです。清書は後から別の日にするつもりです。みーちゃんは筆箱から鉛筆を取り出し、書き始めます。
 「戦争はとてもこわいものです。大ぜいの人がけがをしたり、死んだりします。おなかもすごくすきます。ぜったいに戦争をしてはいけないと思いました」。
 でも、みーちゃんは自分の感想に納得がいきません。
 ──これじゃあ、ちょっとな~。でも、宿題は何で戦争が始まったかじゃなくて、戦争の話を聞いた感想だからな~。うちじゃあ普段から戦争の話はしてるし、ドリフには戦争コントや軍歌の替え歌が多いんだけどなあ。でも、戦争の話ってまとまってないんだよな~あちこち行っちゃって。まだ1週間あるんだけどさ~どうしよう……ああ、お祖父ちゃん、小学校に来て話してくれないかな~。でも、ほんとに知りたいのは何で戦争が始ったか何だよな。戦争がいけないことだってことはわかってるんだけど、じゃあなんで大人はそれを始めちゃうわけ?そこがわかんなきゃ、また始めちゃうと思うんだよな~。
 机の上のミッキーの時計の針は8時20分頃を指しています。
 結局、この4時間はいったい何だったんだろうかと思い悩むみーちゃんなのです。


柳につばめは あなたにわたし
胸の振子が鳴る鳴る
朝から今日も
(安佐里(Ann Sally)『心中的鐘摆』)
〈了〉
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