数寄の長者〜戦国茶湯物語〜竹馬之友篇

[歴史]

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あらすじ
〈竹馬之友〉篇
歴史改変もなく、転生もない、史実の戦国時代前期から戦国末期を生きた「千利休」。茶聖と呼ばれる彼が生きた時代はどういう世であったのかを、群像劇で描く。幼き友との友情、そして天下人となっていく友を支えて、利休は何を思うのか。

第一章 動乱前夜
 茶聖・千利休誕生の前年、将軍義稙公が出奔。天皇践祚の儀に将軍が列席しないという前代未聞の事態に幕府は動揺する。しかし、細川高国は一顧だにせず、次の将軍義晴公を擁立した。

 大戦のない平穏な大永年間であったが、少しずつきな臭さが漂い始めていた。そんな中、和泉から戦が始まる。野田の戦いで敗れた畠山稙長は大和へと逃れる。勝った畠山義宣の後援に阿波から細川讃州家の軍勢が到着した。今度は細川晴宣と元常が、菱木にて戦う。しかし、続く誉田の戦いで畠山義宣が敗れ、讃州家は上洛の足掛かりを失った。

第二章 苞蔵禍心
|大永五年《西暦1525年》、平穏に幕開けたはずの年はまさに厄年であった。武家の諍いとは無縁の所で青蓮院門跡の花会が盛大に催される。茶の湯の巨匠・村田珠光の婿養子・村田宗珠の今でいう添釜であった。一方、細川家では高国が隠居・剃髪し、稙国が家督したが、疫病が大流行して畿内は混乱に陥る。そんな中、対立を深める細川尹賢と香西元盛だったが、謀略により元盛が誅殺され、高国陣営は転がり落ちるように形勢が悪化する。そして起こる桂川原の戦い。

『数寄の長者~竹馬之友篇』をお手にしてくださり、誠に有り難うございます。

 本文をお読みいただく前に、読んでいて違和感を覚えるかもしれない注意事項を書き連ねておこうと存じます。

①暦について
 本作では旧暦を基準としています。
 つまり、一月・二月・三月が春(新暦2月〜4月)。
 四月・五月・六月が夏(新暦5月〜7月)。
 七月・八月・九月が秋(新暦8月〜10月)。
 十月・十一月・十二月が冬(新暦11月〜1月)です。
 それも旧暦ですから、およそ一ヶ月~一ヶ月半のズレがあります。出来るだけ新暦換算の日付をルビで入れるようにして皆様にわかりやすくしてはおりますが、立春を過ぎたら春、立夏を過ぎたら夏、立秋を過ぎたら秋、立冬を過ぎたら冬という当時の感覚をご賞味ください。

②名前について
 史実にない名前の登場人物もいます。三好山城守長基は史実だと二人いた三好一秀の一人、之長の弟の後身とされますが、もうひとりとは明らかに別人であるため、之秀と兄とともに持之より偏諱されたことにしています。
 また、晴元の偏諱前の名前を一字名の「|元《もとい》」とするなどの独自設定があります。あくまで筆者がそう考えているだけに過ぎませんので、新事実発覚の折には修正したいと思います。

 また、基本的には幼名→元服(通い名・諱)→任官(官途名・諱)→入道名(道号戒名)という風に改名していくことも文章で表現しているので、三好利長のルビが三好長慶になったりすることがあります。これは長慶が利長→範長→長慶と改名したことを受けて居ますが、地の文と会話文の齟齬を出来るだけ減らすため、地の文でも改名前は改名前の名前を呼称としているからです。
また、同じ官途名の多い左衛門尉などは|四郎左衛門尉《香西元盛》、|五郎左衛門尉《柳本賢治》のようにルビで表示するようにしています。

③各話冒頭の和歌について
 当時は足利将軍家に仕えるには和歌の素養がなければ無理でした。そのため、陪臣らでも公家たちから歌を指導してもらうという歌道の一大ムーブメントが起こっていた時代でした。しかも、足利義政が王朝文化の盛んな古今和歌集ではなく、万葉集を好んだことから、質朴で侘び寂びを含んだ歌風が好まれた時代の後ということになります。そこで、引歌――元の歌の一部あるいは全部を自分の歌や文章に引用すること――をして詠み変えたものや、あるいは本歌取りをした歌を添えたり、本歌を掲載したりすることで、和歌の世界が日常にあったことを演出しています。

 各章ごとに冒頭に掲出した歌の解説を掲載いたしますので、そちらも併せて御覧ください。

続柄の表記について
 通常「いとこ」は「従兄弟姉妹」と書きますが、本作では母系の従兄弟姉妹を「表兄弟姉妹」、父系の従兄弟姉妹を「堂兄弟姉妹」と表記しました。これは大陸での表記なのですが、分かりやすいと感じたためです。

 また、「おい」は父系を「甥」、母系を「姪」(訓みはどちらも「おい」)と表記しています。

 舅父:母方の伯父・叔父
 姑母:母方の伯母・叔母
 岳父:嫁の父
 岳母:嫁の母
 義父:夫の父
 義母:夫の母
 堂兄・父方の従兄
 堂弟・父方の従弟
 表兄・母方の従兄
 表弟・母方の従弟
 甥・兄弟の子供(男)【おい】
 姪・姉妹の子供(男)【おい】

⑤各話表題を和製漢文にしました
 これは当時の文書が漢文であった雰囲気を出す為です。今後変更する可能性もありますが、和製漢文をやめる事はないと思います。

⑥武将の数が多い
 戦国末期の兵力は常備兵で一万石当り二五〇人と言われていまして、一万石当りの最大動員数は一〇〇〇とも言われます。そこで五〇〇人を目処に侍大将を一名書くと自分に課しています。小説では数字が独り歩きしたり、兵力が過剰になるためのブレーキです。当主は例外的に一〇〇〇人としていることもあります。これは途中から始めた物なので、その内見直して全話に波及させます。

 それでは皆様が本編をお気に召しますことを願って。

登場人物

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小説情報

数寄の長者〜戦国茶湯物語〜竹馬之友篇

月桑庵曲斎  darkpent

執筆状況
連載中
エピソード
25話
種類
一般小説
ジャンル
歴史
タグ
戦国時代, 史実, 千利休, 三好長慶, 津田宗柏, 村田宗珠, 茶道, 鳥居引拙, 室町時代, 武野紹鷗
総文字数
164,422文字
公開日
2023年07月01日
最終更新日
2024年07月18日
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