第二十三話

文字数 6,579文字

 あの旅館を抜け出して、何とかあの巨大なショッピングモールへと辿り着いた三人。少しでも現状を整理したいがために、エヴァの案内でここまでやってきた。
 しばらく動きっぱなしであった礼安にも、疲労の色が見えてきた。それを察知した
院は、礼安に語り掛ける。
「――礼安、とりあえず今は変身を解除してもよくってよ?」
 しかし、礼安は一点を見つめ警戒を解くことはない。その視線の先には、こちらに音を立てることなく歩きながら、明確な敵意と殺意を向ける存在が。間違いなく、『教会』埼玉支部の関係者であった。
「少々、消耗しているようですが……そんな状態では我々埼玉支部の襲撃を耐え抜けるとは到底思えませんね」
 冷徹、理知的。それがその男の第一印象であった。
 きっちりとした漆黒のスーツを身に纏い、まじめな印象を与える七三わけ。さらに理論武装を常としているような職業の人間とは思えないほど、スーツを着ていてなお分かる引き締まった肉体。数多くの修羅場を潜り抜けてきた存在であることは想像に難くないだろう。
「そこまで死にたいのでしたら……この『教会』埼玉支部所属……および、壇之浦銀行課長、鷺沼喜一≪サギヌマ キイチ≫がお相手しましょう」
「――皆を……守らなきゃ……!!」
 咄嗟の変身、かつ二人を担いでの長距離移動。それに脳内を駆け巡る多くの謎が礼安の思考を鈍らせる。しかし、そんな中エヴァが礼安の目の前にかばうようにして立つ。
「――院さん。この連絡先の人のもとに向かってください。あれだけ緻密な作戦を立案、そして提供しましたが……急遽作戦変更です。今はこの場から逃げてください」
 いくら武器の匠≪ウエポンズ・マスタリー≫ではあるが、そしてあの案件において戦闘能力があることを示したものの、エヴァは英雄科の生徒ではない。そんな人物に任せる、と言う不安を抱えていた。そしてその不安は表情にも表れていたのであろう。そんな院の心配は、力強いサムズアップによって打ち消されるのであった。
「大丈夫、私を信頼してください。『もう一つの策』は……あの私お手製の冊子にしっかり記してありますから」
 その彼女の笑みを信じ、礼安の変身を無理やり解除させ、今度は院が変身し礼安を抱え戦線離脱するのだった。
「――よかったんですか? 見たところ……あの中で一番戦えるのはあの『礼安』とか言う方ですが……戦いを生業としている訳ではないのに勝算がある、と?? 実にありえません」
 そんな鷺沼の理路整然とした罵倒を、鼻で笑って見せるエヴァ。
「――なあに、勝算無かったらこの場に残らないって。私だって……武器は武器でも、あらゆるものを職業柄創ってきたのでね」
 手にしているのは、あの案件でも戦闘中見せた鍛冶用小槌。それでコンクリートの地面を叩き、それ自体を広範囲にわたって蠢かせ、目くらましをする。
「勝算が――その程度とは笑わせる!」
 即座にチーティングドライバーを顕現させ、同時に起動。
『Crunch The Story――――Game Start』
「変身!!」
 チーティングドライバーによって変貌を遂げた彼の姿は、一振りの刀を携えた和装の武人、それが各所歪んだ姿。顔部分の瞳はなく、代わりに口が酷く裂けていて、心臓部には現実じゃあありえないほど大輪の椿が咲き、両足は和モチーフの各所を否定するような鉄の義足。
 デバイスドライバーで変身する英雄が、己の願いや欲望が具現化したプラスの力を表した姿なら、チーティングドライバーは当人のマイナス面が発露する、そう言われている。
「貴様がどれだけ足掻こうとも――」
 鷺沼がそのコンクリートで出来上がった触手を荒々しく破砕すると、眼前の光景に言葉を失った。
「足掻こうとも――何が言いたかったかよくわからないけど……その後の台詞、恐らくだけど意味がなくなったかもね」
 手にしているのは、丙良の大剣より少々小ぶりでありながら、金と銀の装飾があしらわれた一本の剣――それが二つ組み合わさった『デュアルムラマサ・Mark3』。それと……英雄科の人間のみが所持しているはずの、ヒーローライセンスが一枚。
 何か良からぬ予感を察知したために、即座に距離をとる鷺沼。その表情は、驚愕の色に満ちていた。
「――貴様、嘘でもついていたのか? 武器の匠と名高い存在が……」
「嘘はついていないよ、あくまで『元』、ってだけ。『ある』事情があってね……まあその事情はここで語るのは時期尚早かも」
 眼前の敵を打ち倒すべく、ライセンスを一対の剣に認証、装填するエヴァ。
『認証、ムラマサ放浪記! 著名な妖刀を生み出した刀工が、各地を放浪した結果己の内に視えたものは如何に!?』
「構築、開始≪ビルド・スタート≫」
 一対の剣に分かち、その場に雷鳴とともに現れるは、英雄顔負けの装甲を纏ったエヴァであった。
「悪いけど――ここから先は納期マッハだから。雷≪イカヅチ≫の力に、痺れご注意だよ」

 エヴァの装甲は、礼安と細部は違うが雷の性質こそ一致しているため、基本デザインを礼安のものから多少流用している。細部に関しては礼安の装甲と同様。しかし元となった英雄が違うためしっかりとした相違点がある。
 まず、『村正』がライセンス元なため和装に近い。系統としては忍者に近いだろうか、各種装甲がデバイスドライバーで変身するあの三人よりも薄く軽い。そのため、防御性能よりも圧倒的に手数で攻めることを考え抜いたデザインとなっている。
 帷子に似た軽鎧、そして脚絆。そこに色鮮やかな短い着物を、腰からだらりと垂らしたような少々ルーズな装飾。普段のつなぎ姿を彷彿とさせる。
 そして面部分も、自身の英雄モチーフに複眼チックな目元を合わせている礼安たちと異なり、バイザーと忍び頭巾を思わせるフェイスベールのような口元の装甲。
 総じて、今までの英雄の装甲とは一線を画すものであった。
「その場しのぎフォーム、って要素のが強いかな、正直。あまり実践シミュレーションもできてないし」
 一対の剣をふらふらと遊ばせながら、鷺沼の周囲を歩くエヴァ。逆手から順手、順手から逆手だったり。そう思えば、くるりくるりと手持ち無沙汰に回してみたり。
 鷺沼は、何より見図っていた。今までの情報≪データベース≫にない相手と戦う、なんてことはなかったためである。
 邪魔者を消し去る仕事人≪スイーパー≫として、あらゆる不測の事態すら起きないほどに準備を整え、当たり前以上に消す。それが常であるために、不測の事態を怖がっているのだ。
「――どーしたの、私を倒して礼安さんたち叩かなくてもいいの?? 時間ってのは有限なんだよ、仕事人さん」
「分かって――いるさ!!」
 携えた刀を背から瞬時に抜き、遊ばせている一対の剣を狙う。
 しかし、それは彼女にとって予測済み。刀の動きをほんの少しだけ一対の剣でずらし、自身に命中させない。
 その力の殺し方を気味悪く思いながらも、正確無比に人体の急所を狙いすました一閃を放っていく。
 しかし、どの一撃も剣先でほんの少しだけずらしたり、はたまた最小の動きで避けたり。エヴァの戦い方は、実に省エネなものであった。
 幾度もの剣戟、その最中荒々しく口撃する鷺沼。
「そうやっていなしてばかりで……実際のところはそうでもないのか!? 少しくらいこちらを攻撃してみたらどうだ軟弱者!!」
 しかし、エヴァはそんな罵倒など意に介すことなく、実に涼しい顔で合気道に似た力の殺し方を続ける。
「――いやね、私実際問題軟弱者なんだよ。体力テストとかある度に結構低い点数撮ってばかりで。ハンドボール投げだって十メートル飛ぶか飛ばないかだし。武器ちゃんに向き合うこと以外、正直今の私に取り柄ってないんだよねェ」
 その発言は真実であったが、現状の鷺沼の状況を鑑みるに小ばかにしているようにも聞こえた。だからこそ、怒りのボルテージが次第に鰻上りとなっていく。
「あァそうか!! 結局は武器にしかその情熱が向かないから、特別な実績など無かったらすでに落第生なのか!!」
 動揺を誘う魂胆が見え透いていたために、どれほどのことを言われても心は静かな水面のまま。鼻で笑って口撃と攻撃をいなして、効率的に必殺技を叩きこむチャンスを窺っていた。
 しかし、そのエヴァの静かな余裕は、たった一言で消し飛ぶこととなる。
「だから、あの『タキモトライア』に入れ込むのか!? 男嫌いな自分を少しでも『慰める』ためにか!!」
 一瞬にして、エヴァの装甲の性能が急激に上昇。それと共にデュアルムラマサの出力も比例して急上昇。
 鷺沼の刀の、脆くなった一点を突いて破砕する。
 刀の悲鳴と共に、後方に退いた鷺沼は実感した。エヴァと言う女の、『惚れた強み』を。
「――私はね、いくら罵られようが構わないのさ。それなりに生きて、それなりにプロ意識を持って。トーシローの的外れな『ご意見』なんて聞き流して、『武器の匠』としてやってきたさ。自分へ向く矢印に対して、メンタル面は比較的強い方だって、自負してるつもり」
 デュアルムラマサ、そのグリップ部に備えられているトリガーを力強く押し、雷の性質を全身に帯びていく。
『必殺承認!! 村正剣劇〆の段・雷電合血滑りの太刀≪ムラマサショータイム・ブラッドエッジ・ライデンモード≫!!』
「――だからこそ、見当違いにほかの誰かを罵られることが、何より許せないんだよクソッタレ!!」
 礼安を傷つけられることが、何よりもの怒り。今のエヴァにとって、どれほどの精神面の支えとなっているか、想像に難くないだろう。
 だからこそ、眼前の存在が心底許せなかった。誰かを救うために英雄≪ヒーロー≫が存在するのだったら、今のエヴァは英雄ではないのかもしれない。しかし、誰かを『想い』、怒ることのできる存在は最優の英雄でなくとも、最良の英雄となるのだろう。
 脚部に、自身の装甲出力限界値を余裕でオーバーするほどの魔力を流し込み、爆発させるように駆ける。
 踏み込んだ場所も、超スピードで駆けていく地も、次元を超えたハイパワーにより表面のコンクリートはおろか、その下部の地盤すら揺り動かすほど。
 瞬きなど許さない、迫りくる絶望。
 鷺沼は、今日ほど『想定外』を何より恨んだことだろう。
 掠めていく電撃を纏った一閃、それは腹部を深く切り裂いていく。しかし、二の矢ともいえるもう一閃が想像を超える。
 噴き出していた血が、自らの意思で鷺沼の肉体を逆袈裟に深くぶった切る。
「う、そ――だろ――――」
 血液自体に電力を流し込み、さながら流体磁石のように稼働させる。今まで体内における最低限の味方であったはずの血液を、電力一つで即座に意志を持って寝返らせ、疑似的な燕返しに似た技を繰り出させる。
 内から自壊させるこの技は、正直衆目に晒されている中では使用できない。いらないトラウマを植え付けてしまう可能性があるため、自身で縛っていたのだ。
「恨むなら――自分の減らず口を恨みやがれクソ野郎」
 しかしそれを放つほどに、エヴァは怒れる存在となっていたのだ。

 ライセンスを取り外し、変身を解除するエヴァ。そして息絶え絶えの鷺沼を見下す。
「――ご、ごめんなさいィィッ――しに、たくないぃぃぃ」
 いまだ怪人体を保つ鷺沼でありながら再生能力は一切働いていない。血液を体内で反乱させたからこそ、肉体の主たる血が流出していく一方であったのだ。
「……アンタにはいろいろ聞きたいことがある。主に……そのチーティングドライバーに装填されている、ライセンスについて。もし洗いざらい話すんなら……血液の反乱を止めてあげてもいい」
 エヴァは、すでにグラトニーの力の正体、そしてそれにまつわる英雄の影を感じ取っていたのだ。その影を実体化させるべく、己の確証を得るべく。圧倒的にエヴァ有利の話し合いの場を得たのだ。
 死ぬ危険性のある鷺沼は、藁にも縋る思いで首を縦に振る。
「元来……聖遺物から生まれたヒーローライセンスは、自身の内に秘められた英雄の因子をもとにどのような力の性質を持つか、そしてどのように自分自身がありたいかをもって具現化する。でも……」
 チーティングドライバーに触れ、悲しげな表情を浮かべるエヴァ。
「ここには……『息吹』が宿っていない、『信念』が宿っていない。形だけのライセンス、って感じしかない。確かに力は行使できるけど、それは未熟なものなんだ」
 形容するならば、グラトニーと初戦を繰り広げた透。それほどに力が未発達状態であったのだ。形は確かにそこに存在するが、まるで亡霊のようなもの。
「――第一の結論、それは禁止された『因子の違法摘出手術』によって抽出され分け与えられた力、ってこと。それについて――――どう? 合ってる??」
 一瞬、躊躇うように顔を背けていた鷺沼であったが、静かに首を縦に振った。「ビンゴ」とだけ口にすると、もう一つの推論について語りだした。
「――これもあくまで現時点では推論どまりだけど……その力の大本はあのグラトニーってアンタのところのボスが担ってるでしょ。何せ……力の息吹を感じ取れないのはそれぞれの幹部連中にも言えた話なんだ。因子がない存在がチーティングドライバーを用いて変身したところでたかが知れてる、歪な存在になるだけだから」
 エヴァはあの旅館で見たグラトニーの怪人体に違和感を抱いて、自分の中で理解しがたかったのだ。神奈川支部の面子のような、各種形状が歪なのがチーティングドライバーの特徴であるはずなのに、その特徴を半ば無視しているようなその怪人体が、疑問でしかなかったのだ。
「――グラトニーは、あのスラムの一件の主犯格、そしてそこで殺した人間の中に、今自分の中に移植した因子元がいる。そうでしょう」
 怒りの感情で渦巻いたエヴァの瞳。自分の命が何より大切な鷺沼は、自身のリーダーを裏切るように首を激しく縦に振った。
「そして……その因子は十中八九『武蔵坊弁慶』。アンタたち埼玉支部の権力をある程度持った幹部連中は、かつて弁慶が勝利し刀を狩った武士の一部、その力を譲渡された……これが埼玉支部の力の謎で――間違いないね」
 あと少しで解放される、その一心でエヴァの推理を完全に肯定した鷺沼。
 まだあの『ホロコースト事件』にまつわる多少の謎は残るものの、彼女の中ですべてが一致した。納得感を胸に、エヴァはその場を後にする。
「ま、まって……!?」
 絶望に満ちた瞳でエヴァに力なく手を伸ばす鷺沼。しかし、エヴァはそんな鷺沼の手を力強く踏みにじった。
「あくまで『延命を考える』とは言ったけど……私がそのあと襲われるかもしれないリスクを考えたら、この場で回復させるのは愚の骨頂でしょ。ただでさえ私は好きな人を軽んじられた、それほどのことを自分はしてしまった、ってことくらい理解した方がいいよ。アンタ馬鹿じゃあないでしょう??」
 その冷徹な瞳は、死の淵に立たされた鷺沼にとって、立たされていた足場が崩れ去り、重力のままに自由落下していくほどの喪失感であった。
「や、やだぁ――しにたくないよォ」
 ぼろぼろと大粒の涙を流しながら、生にしがみ付こうとする。そんな間にも失血死の可能性が迫りくる。
 そんな心からの感情をむき出しにしていた鷺沼のチーティングドライバーを、デュアルムラマサ一薙ぎによって破壊、人間体へと戻すエヴァ。
 それと同時に血液が意思を持つように蠢きだし、鷺沼の肉体へ還っていく。斬撃による深い傷跡はそのままであったが、事実上エヴァは鷺沼の命を救ったのだ。
 力を失った鷺沼は、歯向かえないほどに戦力を削ぎながらも命を間一髪で救ったエヴァを涙ながらに感謝の意を口にした。
「ああ……あぁありがどう――――」
 そのまま、鷺沼は意識を失った。エヴァは、そのまま背を向け歩き出す。礼安たちのもとへ帰るために。
「――ただ、私の与り知るところで死なれたら寝覚めが悪い、それだけです。少しくらい位は……『もしも』の恐ろしさ、理解できたでしょうね」
 これにより、突発的にショッピングモール前で繰り広げられた鷺沼とエヴァの戦いは、鷺沼が焚き付けた怒りの業火によって当人が火傷し、二度と治らない心の傷を作り上げたエヴァの完全勝利で幕を閉じたのであった。
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登場人物紹介

瀧本 礼安≪タキモト ライア≫

「誰かの『助けて』って声が聞こえたなら、そこに現れるのが私! 私たちが来たからにはもう大丈夫、安心していいよ!」

性別……女子

年齢……十五歳

年次……英雄学園入学前→『英雄≪ヒーロー≫』科・一年一組

血液型……AB型

髪型……水色セミロング

因子……『アーサー王伝説』よりアーサー・ペンドラゴン

欲の根源……『赤の他人も友達も、総じて守るため


 自他ともに認める、究極のお人よし。

 過去自分が受けた災難を他人に経験してほしくないために、困っている人に迷わず手を差し伸べることのできる、揺ぎ無い正義感の持ち主。学園から支給されたデバイスドライバーをほぼ初見で扱った、イレギュラー的存在でもある。

 それには多少なり理由があり、現トレジャーハンターでもある父親が元々英雄で、幼いころから触れていた点にある。

 彼女の中にある因子は、『アーサー王』。

 アーサー王自体が持つ高いポテンシャルと、礼安の持つ天性のバトルセンスによって、強さが上位のものとなる。使用武器は様々であり、その場に応じた多種多様な武器を持つ。

 彼女が戦う理由は、『赤の他人も友達も、総じて守るため』。

 お肉とゲームが大好き。それでいて栄養が大体一部に行くのと、動きやすい引き締まった体形をしているため、少なからず疎ましく思う人間はいる。本人曰く、『太らない体質』だそう。


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エヴァ・クリストフ

強い意志がある限り、『武器の匠』として仕事をするだけさ

性別……女子

年齢……十六歳

年次……『武器≪ウエポン≫』科・二年一組

血液型……AB型

髪型……金髪ロング

因子……刀鍛冶師・『村正

欲の根源……『???』


 この世界における、あらゆる武器のメンテナンスや製造が可能な『武器の匠』≪ウエポンズ・マスタリー≫。

 両親から継承し、若くしてプロ英雄たちの武器の面倒を見ている。そのため多くのプロ英雄たちは彼女に頭が上がらない。

 しかし同時にかなりの変態。この世に遍く存在する武器たちや、英雄の中でも女子や女性をこよなく愛しており(無論一般人含む)、所謂レズビアン。

 そのため、男がいるか、あるいは新たな扉を開きたくない女性は、こぞって彼女から距離をとる。本人はそろそろ変態気質を治そうとしているものの、一向に治る気配はない。何なら礼安たちの影響でもっと酷くなった。

 過去のトラウマから、男性と銃が大の苦手。彼女から語ってくれるときは、もう少し先になりそう。

 普段は非戦闘員であるが、親から受け継いだ『鍛冶屋の小槌』を使役し、辺りの無機物や有機物を武器として扱うことが可能。そのため、並の英雄よりも戦える。

 実はかなり頭脳指数が高く、作戦立案もできるほど。眉目秀麗さも合わせ、初見時の印象は普通ならとてもいい。普通なら。作中の女性キャラの中でも、屈指の『ナイスバディ』であり、主要キャラの中で一番『デカい』。僅差で次点は礼安。

 武器科でありながら、自分の開発した『デュアルムラマサ・Mark3』を用いて変身することが可能。厳密には英雄ではないため、変身時の掛け声が唯一異なる。

 アメリカンな大盛り料理、バーベキューが大好き。元々アメリカ出身のため、そういった豪快な食文化に慣れた結果。しかしそれよりも大好きなものは女子、女性を食べること。食人ではない。


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真来 院≪シンラ カコイ≫

「王の御前よ、道を開けなさい!!

性別……女子

年齢……十五歳

年次……英雄学園入学前→『英雄≪ヒーロー≫』科・一年一組

血液型……O型

髪型……クリムゾンレッドのショート

因子……『ギルガメッシュ叙事詩』よりギルガメッシュ王

欲の根源……『己の誇り(礼安や、礼安の好きな場所)を護るため


 礼安とは腐れ縁のようなもの――と言いながら、早十五年。長い間礼安の側に居続ける、礼安にとって大事な存在。

 日本を代表する真来財閥の長女で、次期当主として家を背負う人間でもある。お嬢様言葉が崩れたようなラフな口調をよくしている。まあだいたい礼安のせい。

 礼安をとりわけ大事に思っており、少々過保護な面が垣間見える。しかし律するときはきっちり決めるため、周りからの人望は礼安同様厚い。本人はお人よしではない、と語っているものの、礼安ほどではないにしてもお人よしであり、おせっかい焼きである。見ず知らずの人間に対してもかなりのおせっかい焼きであるが、礼安が関わるとお母さんのようになる。

 彼女の中にある因子は、『ギルガメッシュ』。

 まだ力を制御しきれはしないものの、入学前の生徒としては異例。弓を主に使い、トリッキーな戦いを得意とする。

 彼女が戦う理由は、『己の誇り(礼安や、礼安の好きな場所)を護るため』

 実は、礼安と院は幼馴染ではなく、家族関係にある。礼安と同様、亡くなった母親に対して尊敬の念を抱いている。今は礼安の精神の安寧を保つため、父である信一郎と共に礼安のメンタルケアを行っている。

 大分スレンダー体型であるため、礼安の『一部分』を時たま羨ましく思うときがある。礼安はそんなありのままの院を「可愛い!」と語るが、院はそんな礼安を見て「私の礼安は私なんかよりももっと可愛い!!」と親バカ(?)っぷりをいかんなく発揮する。

 甘いものが好きで、礼安とそこ辺りの好みが合わないことが悲しいらしい。


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天音 透≪アマネ トオル≫

「俺が、最強だ!!

性別……女子

年齢……十五歳

年次……英雄学園入試主席入学→『英雄≪ヒーロー≫』科・一年一組

血液型……AB型

髪型……黒ベースに黄色のメッシュの入ったショート

因子……『西遊記』より孫悟空

欲の根源……『特になし』→『自分で自分を守れない、弱い奴を従えて誰も傷つかない世を創る


 英雄学園の一般入試を勉学方面、実技方面両方でほぼ満点をたたき出し、主席として新入生生徒代表である生徒。入学前時点での強さは、礼安と同格であった。

 しかし、礼安と院両人が神奈川支部との一件を経て、圧倒的な強さを得た上に、学園長の実の娘であることが発覚してから、『恵まれた存在』として両人を敵視していた。

 埼玉県内のスラム街出身であり、自力で生きる術を身に着けているため、家事能力や自分より下の年齢の子供の世話はお手の物。実際、血縁関係こそないものの、『ホロコースト事件』により両親を失った子供たち数名を疑似的な家族として匿って世話していた。

 埼玉支部(特にそこの支部長である、コードネーム・グラトニー)とは並々ならぬ因縁があり、元々はある程度恵まれた家庭であった天音家を、グラトニー自身の逆恨みによって崩壊させられたため、最初は殺意混じりに敵対していた。

 『勝気少女』編で礼安やエヴァから『英雄』としての心構えを説かれ、グラトニーへの復讐をすることは変わらなかったが、生きて罪を償わせる選択を取った。その際、敵対視していた礼安と完全に和解し、協力し合って埼玉の平和を勝ち取った。

 主要キャラ内で最もスレンダーであり、圧倒的モデル体型。貧困生活を送っていたため、贅肉などは無く、一番『小さい』。一人称も『俺』。弟妹達を食って行かせるため、厳しい世を若い中で渡り歩いてきたため、肝はかなり据わっている。

 側近である『剣崎奈央≪ケンザキ ナオ≫』と『橘 立花≪タチバナ リッカ≫』とは、同じスラムで育った幼馴染。二人が武器科に移った後も、弟妹たちと共に食事したり、遊んだりしているらしい。

 埼玉での一件が片付いた後から、礼安に対しては尊敬の念とほんのちょっぴり好意的な目を向けている。

 院と同様甘いものが好き。埼玉支部との一件後、二人でスイーツ巡りをしたり、可愛いものを集めたりしているらしい。


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丙良 慎介≪ヘイラ シンスケ≫

「英雄の時間≪ヒーロータイム≫と、洒落こもうか」

性別……男子

年齢……十六歳

年次……英雄学園入試主席入学→『英雄≪ヒーロー≫』科・二年一組

血液型……AB型

髪型……ダークブラウンのベリーショート

因子……『ギリシャ神話』よりヘラクレス

欲の根源……『???


 英雄学園東京本校にて、座学実技共に好成績を収めた、そんな一握りの存在が持てる『仮免許』を持つ、英雄学園の中でもかなりのエリート。

 一般人からの認知度も、英雄の中での知名度も高く、さらに立ち居振る舞いに嫌な点が見つからない、好青年の極み。そのため、両性から人気がある。決め台詞内の『英雄の時間≪ヒーロータイム≫』は、今は亡き丙良の先輩の決め台詞であった。

 かつての一年生時代に、入学前の生徒が見学していた丙良の先輩との実習授業内において、神奈川支部の襲撃が発生。その時点の未熟な力ではヘリオをはじめとした面々には敵わず、丙良は深い傷を負った。さらに丙良が庇われた結果、丙良の先輩とその入学前の志望生徒二人が目の前で皆死亡。

 首席で入学したから、と言って世の中は甘くない、さらに自分が敵わない存在などごまんといることに辟易した丙良は、ふさぎ込んでしまった。誰かと深く関わることで、その誰かが亡くなった際の精神ダメージを、もろに食らうことを恐れた結果、後輩や先輩、同級生において、深く関わる存在は実に少なくなってしまった。現時点において、彼と同級生で深い関係にあるのは、エヴァと信玄(『大うつけ者』編時点)のみ。

 しかし、神奈川支部との一件の中で、狂気的なほどに勇敢な礼安、そしてその礼安のお目付け役である院との出会いで、保守的な考えが一部改まっていく。『大うつけ者』編時点において、後輩内において深い関係を築き上げたのは礼安、院、透の三人となった。

 彼の中にある因子は、『ヘラクレス』。主要キャラ内で、最も防御力が高いため、より堅実かつトリッキーな戦いを好む。礼安とは能力的に相性が悪いと思われがちだが、『砂鉄』を操る能力を用いれば電気と土は共存できる。

 好物はピザ。特に安定と値段重視のマルゲリータ。

 礼安たちの『微笑ましいやり取り』に、一切介入しないようにしている。


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瀧本 信一郎≪タキモト シンイチロウ≫

「只今より、怪人○○の処刑を執行する」

性別……男子

年齢……五十歳

年次(?)……『原初の英雄』→私財を投じ『英雄学園東京本校』設立、同タイミングで学園長就任

血液型……AB型

髪型……紫色のロングを後ろで雑に束ねた雑ポニーテール

因子……『???

欲の根源……『???


 世に『英雄≪ヒーロー≫』の概念を生みだした張本人であり、世界を股にかけ自分の気に入った変なもの……もとい聖遺物を収集するトレジャーハンターでもあり、英雄学園東京本校学園長をはじめとして、世界中に様々な分校を作り名誉学園長となった、日本を代表する『原初の英雄』。

 現役時代、その圧倒的強さから『処刑人≪スィーパー≫』とまで語られる男である。

 しかし、今はその尖った異名などどこへやら、子煩悩かつ常時柔らかな笑みを絶やさない、柔和な人物に。五十歳とは思えないほどにしわが存在せず、全てを知らない人が彼を見たら二十代と空見してしまうほど。

 学園生徒と分け隔てなく接しているものの、実の娘である礼安と院に関しては目に見えてデレデレ。尋常でないほどの学内通貨をお小遣いとして支給している。週一のペースで。

 今も、来たるべく災厄の可能性を鑑みて、修行は怠らないようにしているものの、現役時代よりは戦力ダウン。本人はそれを酷く恥じている様子である。

 その理由が、何より礼安と院の母であり、信一郎の妻を亡くしたことに起因している。もう大切な存在を亡くしてしまわないように、いざというタイミングで自分も動けるようにしているのだ。

 他の英雄と異なり、デバイスドライバーの祖たる『デバイスドライバー・シン』を用いて変身する。デバイスドライバーと比べるといわゆるプロトタイプに位置するモデルだが、実際の出力量はデバイスドライバーの百倍ほど。力の暴走などのリスクを完全に取り払ったがゆえに、ニュータイプでありながらパワーダウンしている。『シン』は現状、信一郎以外に扱える者は完全に存在しない。

 今まで、数多くの事件を単独で解決してきたのだが、日本中を震撼させた『とある事件』は何者かと共に戦い勝利したらしいが、その人物は不明。

 ちなみに、それほどの功績を残しておきながら、生徒たちにはまあまあなレベルでイジられている。特に、一昔前の学園ドラマの熱血教師を夢見るがゆえに、時代錯誤とも思えるシーンを実現させたいと、本人は試行錯誤している。しかし生徒たちは「そんなの今のご時世ありえねー」と白眼視。透もその一人である。しかしそのイジリを本人も仕方ないと容認しているため、特に問題はない。


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