第二十六話

文字数 4,353文字

 礼安一行が一度訪れた場所、あの旅館にて。礼安たちが逃げた後、後処理を旅館の面子総勢で行っていた。夜通しの作業であったため、そしてその周辺の住人の誇りでもあった旅館だったため、その場には高年齢層の人間ばかりが集っていた。
 黙々と作業しつつ、この現状に疑問を抱いていたのだ。
「――これで、本当に良かったのでしょうか」
 口を開いたのは、旅館の仲居。夫に先立たれ、歴史ある旅館経営に困っていた状態を救った存在は、まさしくあの『教会』埼玉支部。多額の援助により、結果として旅館復興を成すことが出来た。何なら、元よりも華美な高級旅館となった。多くの著名人も宿泊したことのある、日本有数の高級旅館となった。
 しかし、訪れる人々の声をしっかりと聴いてきた中で、最も多かったのは「成金じみているみたいで気味が悪かった、どこか鼻につく」との言葉。元々夫婦で営んでいるときにはそんな言葉などもらうことはなかった。
 あの埼玉支部の頭であるグラトニー、そして彼の部下のアドバイスをもとに埼玉は確かに発展してきた。危険因子である要素も金を払えば排除してもらえた。
 全てが金、金、金塗れ。虚飾に塗れた繁栄を手にした結果、素朴さなど一切感じさせない、新たな可能性の芽すら息吹くことのない死の土地となった。
「仲居さん、いいんだ、これで。良心の呵責なんて起こさんでも……この商店街をはじめとして、埼玉の過疎化なんて起こらないさ」
 憂う仲居さんを気遣う周辺住民たち。しかし、その住民の表情を見ても、どれも浮かない表情であった。いくら埼玉を思う心があろうと、今の在り方に関しては徐々に疑問符が浮かぶものであったのだ。
 漂白≪ブリーチ≫も、過ぎれば生活感など感じない。息吹すら感じない、薄気味悪いものとなる。灰汁を全て取ったら、旨味すら削いだ鍋になるようなもの。
 あの虐殺事件の真犯人も、そしてこの成金じみた埼玉となった諸悪の根源も、すべて分かりきっている。分かりきっているうえで、この現状が変わってしまう、崩壊してしまうことが何より怖かったのだ。
 日常は、突如として前触れなく崩壊してしまう。それは誰もが理解している。だからこその根源的恐怖。それが皆の胸中に芽生えた悪性腫瘍≪デキモノ≫であった。
(この旅館を続けていくために、埼玉県をより良いものに)
 そう自分に言い聞かせよう。それこそが最善だ、と。
 しかし、その逃げた気持ちはとある人間の一喝により吹き飛ぶこととなる。
「そんなんでいいのかよ!!」
 そこにいたのは、革新派の一人である章大をはじめとした綾部一家であった。
「だ、誰ですか貴方は」
 その仲居の問いかけに、章大は一人一人を見つめながら声を張り上げる。
「私は……綾部章大! この現状を憂う――埼玉が大好きな男だ!!」
 彼の放つ異様な雰囲気、それでこの場の全員が確信した。自分たちとは異なる派閥の人間であると。自分たちとは相いれない存在であると。
「……んなこと言って! 結局は余所者に媚びへつらう奴じゃあねえか?! あのショッピングモールだって……俺ら商店街の人間を排他しようとしてるだろうに!!」
 商店街とショッピングモール、それは実に似ている。あくまで現代の流れにのっとった新しいものか、現代の流れに逆らうものか。その程度の違いしか大きなものはない。
 しかし、利便性の面で、その巨大なモール一つで全てを賄える存在であるならば、商店街の存在意義はほぼなくなってしまう。そしてそちらに人が流れれば、自ずと商店街の衰退に繋がる。だからこそ、強硬派閥は毛嫌いしているのだ。自分の仕事が秀でているそちらに奪われてしまうのではないか、と。
 しかし、それはあくまで怒りから生まれた嫌悪の感情ではない。恐怖に近しいものなのだ。
「――今の埼玉がおかしいことくらい、分かっているだろ!? 金ばかりで人情もクソも無い、現状維持しか考えなかった結果、より薄汚れた街になってしまったことくらいわかってるんだろ!!」
「「「――!!」」」
 人は、恐怖するとその場から動きたがらなくなる。それと同じように、今の立場が壊れてしまう危険性が生まれた場合、そこから一ミリも動きたがらない。万が一動いてしまったがゆえに生まれてしまう、最悪の不確定要素を生み出したくないのだ。
 しかし、どうだろうか。人は成長の歩みを止めたらどうなるのだろうか。結論は簡単、現状維持しか能のない肉塊となる。
 だから、人は人であるために、どれだけ辛くても歩みを止めない。歩んだ先に輝く、最高の不確定要素をつかみ取るために。どれだけ荒波にもまれ、最悪を経験しても、多くの偉人は不確定要素と戦い抜いてきた。その結果、今の人類の繁栄が存在する。
「少しでも……埼玉をよりよくしたいと考えないのか!? 今にとどまることも確かに必要だろう、それによって生まれるものもあるだろう! でも……そこに『輝かしい未来』は存在するのか!?」
 皆理解していた、現状のメッキ。それが章大の魂からの叫びにより剥がれ落ちていく。
「今ここにいる私たちが――これからの子たちが作り上げた未来を片っ端から潰して何になる!? 可能性こそ、今の埼玉の繁栄には必要なんじゃあないか!?」
 それぞれが、自分の行動を、過ちを理解し反省した。自分たちの立場のために、漂泊のために犠牲になったものがあることが、多くの人に暗い影を落としていたのだ。
 スラム街の『ホロコースト事件』、それで死んでいった人々と土地、そして利権。腐り果てた埼玉を変えられるのは、今ここで生きる埼玉県民でしかない。
「安寧のため、そうあいつらが騙った結果多くの犠牲があった、多くの血が流れた!! この現代に!! 今こそ理解し、立ち上がってNOを突き付ける時だ、自分が信念を持った埼玉県民であるなら!! 言の刃≪ことのは≫を持って立ち上がるべきだろ!!」
 元々章大自身に、何かしらの才能があるわけではない。しかし、学生時代から人の前に立ってスピーチをすることは得手であった。総じて人の上に立つことを苦と思わない、指導者気質のある男であった。
 しかし、そんな一般人であった彼が。自分と異なる意見を持った者を扇動できるほどに、覚悟を胸に抱いていた。信念を持っていた。
 堂々たる彼の立ち居振る舞いは、異を唱えていた存在すら心を揺り動かしていたのだ。
「今こそ、我々は一致団結して立ち上がるべきです! 我々に、『教会』埼玉支部の助けなんていらない!! 後世に誇れる埼玉は、我々地元の人間しか作ることは叶わないはずだ!!」
 次第に、人々の熱は上昇していく。それと同時に、仲居さんも心から礼安たちへの横暴を恥じた。一時の金目当てでああいったことをしてしまった、自分の薄汚さと浅はかさを。
 静かに涙を流し、崩れ落ちる仲居。しかし、そんな彼女を優しく受け止める存在が。それこそ、礼安と院であった。
「――滝本様、真来様」
「礼安でいいですよ、仲居さん!」「私も、少々むず痒いですわ」
 まるで何事もなかったかのように、太陽のようにまぶしい笑顔を見せる礼安。そんな彼女の器の大きい対応を感じ、あの旅館での初日、入り口で出会ったときのことをふと思い出す。
 今まで、こんなにもまぶしい人に出会ったことは一度しかなかった。それは、仲居が契りを交わした、先立った夫ただ一人。そんな特別な存在と、同じ暖かさとまぶしさを感じ取っていたのだ。それゆえに、涙が無意識に溢れ出していた。
(安心しとけ、俺とお前なら――この旅館はもっとより良いものになるぞ)
(――ええ、貴方。きっと……後世長く続く最高の旅館を作りましょうね)
「あれだけのことをしておきながら、厚かましくはありますが……この埼玉を――この埼玉に根付く闇を……どうか祓ってください、礼安」
 その心からの願いに、礼安は明朗快活に笑って応えた。
「勿論、誰かの『助けて』って声が聞こえたなら、そこに現れるのが私たち! 私たちが来たからにはもう大丈夫、安心していいよ!」
 その心の靄を晴らすほどの光は、多くの人を勇気づけた。その結果、章大らをはじめに、保守派であった商店街の人々を巻き込んでいった結果、埼玉県民が次第に新生レジスタンスとして立ち上がり始めたのだ。
 元々は、透の救うための静かな戦いであったはずの遠征は、巣くう闇が作り上げた背景を知っていき、やがて多くの人々を巻き込んだ聖戦へ。
 それぞれが、それぞれの思いを胸に。埼玉全土を巻き込んだ事件の終末は近い。

 そして。時同じく所変わって綾部家前。息を激しく乱しながら、やっとの思いで辿り着いたエヴァ。装甲のアシストを全開にしている理由は運動音痴なため。しかもそのアシストを全開にすると稼働時間の限界が早まってしまう。どうも難儀なものである。
「……なんか向こうで多くの人が団結して動いているように聞こえるんだけど、てか礼安さんたちここにいないんですけど!?」
 確実にいるであろう連絡先の場所にいないとなると、目的地が残酷にも更新されてしまう。かなり離れた位置に存在する、『教会』埼玉支部。しかし、こんな夜にバスなどの公共交通機関は数少ない。加えて、エヴァは支給品のバイクは持ち合わせていない。何より、自転車をはじめとした二輪車に乗れない。酷く乗り物酔いしてしまうためである。
「この状況……マジでどうしよう!?」
 別の意味で鬼気迫っていたエヴァであったが、一つ考え付いた案がある。しかし、この案はかなり悪目立ちするため、あまり使いたくない手段であった。しかし、もう四の五の言っていられない状況であった。
「あーもうしょうがない!!」
 懐から鍛冶用小槌を取り出し、それで乱暴に地面を叩く。多くの魔力を扱うものの、猛スピードで追いつくにはこの手段しかなかった。
 無数のコンクリ製触手を生成、それらを束ねより強靭なものへと仕立て上げる。
 エヴァはその上に乗り、圧倒的スピードで伸長。
(――背に腹は……変えられない!!)
 覚悟を背負い猛スピードで進み続けるエヴァであったが、早々に限界は訪れる。
 エヴァの口から、無限に排出される謎のキラキラが埼玉の夜空に撒き散らされながら、埼玉支部へ向かっていく触手たち。美人形無しである。
 しかしその様子は、はたから見れば幻想世界にしか存在しないであろう龍(のようなもの)に跨る何者か。撒き散らされるキラキラは龍の涙……のように見えるかもしれない、それほどに幻想的だったため、人々は魅了された。
 その日を境に、埼玉にある都市伝説が生まれた。埼玉の未来を憂う龍が涙を流しながら空を飛ぶ、『埼玉に住まう龍神様』。本質を知ってしまったが最後、不快な気分になること請け合いな新生都市伝説であった。
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登場人物紹介

瀧本 礼安≪タキモト ライア≫

「誰かの『助けて』って声が聞こえたなら、そこに現れるのが私! 私たちが来たからにはもう大丈夫、安心していいよ!」

性別……女子

年齢……十五歳

年次……英雄学園入学前→『英雄≪ヒーロー≫』科・一年一組

血液型……AB型

髪型……水色セミロング

因子……『アーサー王伝説』よりアーサー・ペンドラゴン

欲の根源……『赤の他人も友達も、総じて守るため


 自他ともに認める、究極のお人よし。

 過去自分が受けた災難を他人に経験してほしくないために、困っている人に迷わず手を差し伸べることのできる、揺ぎ無い正義感の持ち主。学園から支給されたデバイスドライバーをほぼ初見で扱った、イレギュラー的存在でもある。

 それには多少なり理由があり、現トレジャーハンターでもある父親が元々英雄で、幼いころから触れていた点にある。

 彼女の中にある因子は、『アーサー王』。

 アーサー王自体が持つ高いポテンシャルと、礼安の持つ天性のバトルセンスによって、強さが上位のものとなる。使用武器は様々であり、その場に応じた多種多様な武器を持つ。

 彼女が戦う理由は、『赤の他人も友達も、総じて守るため』。

 お肉とゲームが大好き。それでいて栄養が大体一部に行くのと、動きやすい引き締まった体形をしているため、少なからず疎ましく思う人間はいる。本人曰く、『太らない体質』だそう。


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エヴァ・クリストフ

強い意志がある限り、『武器の匠』として仕事をするだけさ

性別……女子

年齢……十六歳

年次……『武器≪ウエポン≫』科・二年一組

血液型……AB型

髪型……金髪ロング

因子……刀鍛冶師・『村正

欲の根源……『???』


 この世界における、あらゆる武器のメンテナンスや製造が可能な『武器の匠』≪ウエポンズ・マスタリー≫。

 両親から継承し、若くしてプロ英雄たちの武器の面倒を見ている。そのため多くのプロ英雄たちは彼女に頭が上がらない。

 しかし同時にかなりの変態。この世に遍く存在する武器たちや、英雄の中でも女子や女性をこよなく愛しており(無論一般人含む)、所謂レズビアン。

 そのため、男がいるか、あるいは新たな扉を開きたくない女性は、こぞって彼女から距離をとる。本人はそろそろ変態気質を治そうとしているものの、一向に治る気配はない。何なら礼安たちの影響でもっと酷くなった。

 過去のトラウマから、男性と銃が大の苦手。彼女から語ってくれるときは、もう少し先になりそう。

 普段は非戦闘員であるが、親から受け継いだ『鍛冶屋の小槌』を使役し、辺りの無機物や有機物を武器として扱うことが可能。そのため、並の英雄よりも戦える。

 実はかなり頭脳指数が高く、作戦立案もできるほど。眉目秀麗さも合わせ、初見時の印象は普通ならとてもいい。普通なら。作中の女性キャラの中でも、屈指の『ナイスバディ』であり、主要キャラの中で一番『デカい』。僅差で次点は礼安。

 武器科でありながら、自分の開発した『デュアルムラマサ・Mark3』を用いて変身することが可能。厳密には英雄ではないため、変身時の掛け声が唯一異なる。

 アメリカンな大盛り料理、バーベキューが大好き。元々アメリカ出身のため、そういった豪快な食文化に慣れた結果。しかしそれよりも大好きなものは女子、女性を食べること。食人ではない。


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真来 院≪シンラ カコイ≫

「王の御前よ、道を開けなさい!!

性別……女子

年齢……十五歳

年次……英雄学園入学前→『英雄≪ヒーロー≫』科・一年一組

血液型……O型

髪型……クリムゾンレッドのショート

因子……『ギルガメッシュ叙事詩』よりギルガメッシュ王

欲の根源……『己の誇り(礼安や、礼安の好きな場所)を護るため


 礼安とは腐れ縁のようなもの――と言いながら、早十五年。長い間礼安の側に居続ける、礼安にとって大事な存在。

 日本を代表する真来財閥の長女で、次期当主として家を背負う人間でもある。お嬢様言葉が崩れたようなラフな口調をよくしている。まあだいたい礼安のせい。

 礼安をとりわけ大事に思っており、少々過保護な面が垣間見える。しかし律するときはきっちり決めるため、周りからの人望は礼安同様厚い。本人はお人よしではない、と語っているものの、礼安ほどではないにしてもお人よしであり、おせっかい焼きである。見ず知らずの人間に対してもかなりのおせっかい焼きであるが、礼安が関わるとお母さんのようになる。

 彼女の中にある因子は、『ギルガメッシュ』。

 まだ力を制御しきれはしないものの、入学前の生徒としては異例。弓を主に使い、トリッキーな戦いを得意とする。

 彼女が戦う理由は、『己の誇り(礼安や、礼安の好きな場所)を護るため』

 実は、礼安と院は幼馴染ではなく、家族関係にある。礼安と同様、亡くなった母親に対して尊敬の念を抱いている。今は礼安の精神の安寧を保つため、父である信一郎と共に礼安のメンタルケアを行っている。

 大分スレンダー体型であるため、礼安の『一部分』を時たま羨ましく思うときがある。礼安はそんなありのままの院を「可愛い!」と語るが、院はそんな礼安を見て「私の礼安は私なんかよりももっと可愛い!!」と親バカ(?)っぷりをいかんなく発揮する。

 甘いものが好きで、礼安とそこ辺りの好みが合わないことが悲しいらしい。


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天音 透≪アマネ トオル≫

「俺が、最強だ!!

性別……女子

年齢……十五歳

年次……英雄学園入試主席入学→『英雄≪ヒーロー≫』科・一年一組

血液型……AB型

髪型……黒ベースに黄色のメッシュの入ったショート

因子……『西遊記』より孫悟空

欲の根源……『特になし』→『自分で自分を守れない、弱い奴を従えて誰も傷つかない世を創る


 英雄学園の一般入試を勉学方面、実技方面両方でほぼ満点をたたき出し、主席として新入生生徒代表である生徒。入学前時点での強さは、礼安と同格であった。

 しかし、礼安と院両人が神奈川支部との一件を経て、圧倒的な強さを得た上に、学園長の実の娘であることが発覚してから、『恵まれた存在』として両人を敵視していた。

 埼玉県内のスラム街出身であり、自力で生きる術を身に着けているため、家事能力や自分より下の年齢の子供の世話はお手の物。実際、血縁関係こそないものの、『ホロコースト事件』により両親を失った子供たち数名を疑似的な家族として匿って世話していた。

 埼玉支部(特にそこの支部長である、コードネーム・グラトニー)とは並々ならぬ因縁があり、元々はある程度恵まれた家庭であった天音家を、グラトニー自身の逆恨みによって崩壊させられたため、最初は殺意混じりに敵対していた。

 『勝気少女』編で礼安やエヴァから『英雄』としての心構えを説かれ、グラトニーへの復讐をすることは変わらなかったが、生きて罪を償わせる選択を取った。その際、敵対視していた礼安と完全に和解し、協力し合って埼玉の平和を勝ち取った。

 主要キャラ内で最もスレンダーであり、圧倒的モデル体型。貧困生活を送っていたため、贅肉などは無く、一番『小さい』。一人称も『俺』。弟妹達を食って行かせるため、厳しい世を若い中で渡り歩いてきたため、肝はかなり据わっている。

 側近である『剣崎奈央≪ケンザキ ナオ≫』と『橘 立花≪タチバナ リッカ≫』とは、同じスラムで育った幼馴染。二人が武器科に移った後も、弟妹たちと共に食事したり、遊んだりしているらしい。

 埼玉での一件が片付いた後から、礼安に対しては尊敬の念とほんのちょっぴり好意的な目を向けている。

 院と同様甘いものが好き。埼玉支部との一件後、二人でスイーツ巡りをしたり、可愛いものを集めたりしているらしい。


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丙良 慎介≪ヘイラ シンスケ≫

「英雄の時間≪ヒーロータイム≫と、洒落こもうか」

性別……男子

年齢……十六歳

年次……英雄学園入試主席入学→『英雄≪ヒーロー≫』科・二年一組

血液型……AB型

髪型……ダークブラウンのベリーショート

因子……『ギリシャ神話』よりヘラクレス

欲の根源……『???


 英雄学園東京本校にて、座学実技共に好成績を収めた、そんな一握りの存在が持てる『仮免許』を持つ、英雄学園の中でもかなりのエリート。

 一般人からの認知度も、英雄の中での知名度も高く、さらに立ち居振る舞いに嫌な点が見つからない、好青年の極み。そのため、両性から人気がある。決め台詞内の『英雄の時間≪ヒーロータイム≫』は、今は亡き丙良の先輩の決め台詞であった。

 かつての一年生時代に、入学前の生徒が見学していた丙良の先輩との実習授業内において、神奈川支部の襲撃が発生。その時点の未熟な力ではヘリオをはじめとした面々には敵わず、丙良は深い傷を負った。さらに丙良が庇われた結果、丙良の先輩とその入学前の志望生徒二人が目の前で皆死亡。

 首席で入学したから、と言って世の中は甘くない、さらに自分が敵わない存在などごまんといることに辟易した丙良は、ふさぎ込んでしまった。誰かと深く関わることで、その誰かが亡くなった際の精神ダメージを、もろに食らうことを恐れた結果、後輩や先輩、同級生において、深く関わる存在は実に少なくなってしまった。現時点において、彼と同級生で深い関係にあるのは、エヴァと信玄(『大うつけ者』編時点)のみ。

 しかし、神奈川支部との一件の中で、狂気的なほどに勇敢な礼安、そしてその礼安のお目付け役である院との出会いで、保守的な考えが一部改まっていく。『大うつけ者』編時点において、後輩内において深い関係を築き上げたのは礼安、院、透の三人となった。

 彼の中にある因子は、『ヘラクレス』。主要キャラ内で、最も防御力が高いため、より堅実かつトリッキーな戦いを好む。礼安とは能力的に相性が悪いと思われがちだが、『砂鉄』を操る能力を用いれば電気と土は共存できる。

 好物はピザ。特に安定と値段重視のマルゲリータ。

 礼安たちの『微笑ましいやり取り』に、一切介入しないようにしている。


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瀧本 信一郎≪タキモト シンイチロウ≫

「只今より、怪人○○の処刑を執行する」

性別……男子

年齢……五十歳

年次(?)……『原初の英雄』→私財を投じ『英雄学園東京本校』設立、同タイミングで学園長就任

血液型……AB型

髪型……紫色のロングを後ろで雑に束ねた雑ポニーテール

因子……『???

欲の根源……『???


 世に『英雄≪ヒーロー≫』の概念を生みだした張本人であり、世界を股にかけ自分の気に入った変なもの……もとい聖遺物を収集するトレジャーハンターでもあり、英雄学園東京本校学園長をはじめとして、世界中に様々な分校を作り名誉学園長となった、日本を代表する『原初の英雄』。

 現役時代、その圧倒的強さから『処刑人≪スィーパー≫』とまで語られる男である。

 しかし、今はその尖った異名などどこへやら、子煩悩かつ常時柔らかな笑みを絶やさない、柔和な人物に。五十歳とは思えないほどにしわが存在せず、全てを知らない人が彼を見たら二十代と空見してしまうほど。

 学園生徒と分け隔てなく接しているものの、実の娘である礼安と院に関しては目に見えてデレデレ。尋常でないほどの学内通貨をお小遣いとして支給している。週一のペースで。

 今も、来たるべく災厄の可能性を鑑みて、修行は怠らないようにしているものの、現役時代よりは戦力ダウン。本人はそれを酷く恥じている様子である。

 その理由が、何より礼安と院の母であり、信一郎の妻を亡くしたことに起因している。もう大切な存在を亡くしてしまわないように、いざというタイミングで自分も動けるようにしているのだ。

 他の英雄と異なり、デバイスドライバーの祖たる『デバイスドライバー・シン』を用いて変身する。デバイスドライバーと比べるといわゆるプロトタイプに位置するモデルだが、実際の出力量はデバイスドライバーの百倍ほど。力の暴走などのリスクを完全に取り払ったがゆえに、ニュータイプでありながらパワーダウンしている。『シン』は現状、信一郎以外に扱える者は完全に存在しない。

 今まで、数多くの事件を単独で解決してきたのだが、日本中を震撼させた『とある事件』は何者かと共に戦い勝利したらしいが、その人物は不明。

 ちなみに、それほどの功績を残しておきながら、生徒たちにはまあまあなレベルでイジられている。特に、一昔前の学園ドラマの熱血教師を夢見るがゆえに、時代錯誤とも思えるシーンを実現させたいと、本人は試行錯誤している。しかし生徒たちは「そんなの今のご時世ありえねー」と白眼視。透もその一人である。しかしそのイジリを本人も仕方ないと容認しているため、特に問題はない。


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