第8話 「何をやらないか」決めるのが大切

文字数 1,032文字

 人はついつい多くの事をやろうとして失敗する。だがアメリカの有名な経営学者であるマイケル・ポーターによれば著書「競争戦略論Ⅰ」のなかで「何をやらないか」を決める事が企業にとっては大切だと説いている。確かに多くの日本企業は厳しい競争の中で生き抜いていく為には他社のやっている事が気になる。そしてその結果としてどこの会社の製品も似通ったものを作る事になる。それに反してそういう風潮がない海外の企業の製品は、独自性があり顧客にとって新鮮なもので魅力的に感じられる。その為、今まで日本企業の大切な顧客が海外の企業に奪われると言う事態が起きている。
 例えば、最近では地球環境を守る為に電気自動車を導入するという社会的ば使命もあるせいか日本車のデザインは似通ってきていてどこのメーカーか判別するのは難しくなってきている。1960年代、70年代の日本の車は各社それぞれにデザインに特長があって一目でどこの社の車か判別出来たのと大きな違いだ。
 車だけでなく北海道のコンビニで「セイコーマート」と言う会社があるが、コンビニの大手3社とは違う独自性を出して成功している。具体的に言えばコンビニの人気商品である「おにぎり、おでん」は扱わないで、自ら北海道の食材を調達して食品を自社で製造してさらにトラックも用意して店舗に届け利益を上げている。このように競争の厳しいコンビニ業界で他の大手コンビニが販売している人気商品はやらないと決める処にこの会社の強みがある。
 他にも航空会社でアメリカのサウスウエスト航空はハブ空港への発着を避けて路線を中規模都市の2番手空港に絞り大手航空会社には出来ない価格を実現して利益を上げている。
 このように「何をやらないか」を決める事が重要なのは企業にだけに限らない。人にとっても非常に大切な事である。まず誰にでもに平等に与えられているものとして1日の24時間という時間がある。そして誰にでも平等に与えられている24時間という時間をいかに有意義に使うかによって個人間で差が出てくる。又、有意義に時間を使うと言う事は他人がやっている事を模倣して同じような事をする為に時間を使う事ではない。
 最初に「何をやらないか」を決める事により自分に向いている事、本当にやりたい事が見えてくる。そしてその事に大切な時間を使えばその人の生活は充実したものになる。「何をやらないか」をまず最初に決める事は横並び意識の強いと言われる日本においては勇気のいる事だが大切な事である。
 
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