第12話 人はポジティブな事が好きなのに何故ネガティブな事に引かれるのか?

文字数 1,103文字

 今まで好意をもって付き合ってきた友人や好きだと思っていた異性に対して、ある事がきっかけになって相手を嫌いになった経験はないだろうか?私は長年付き合ってきた友人の取ったある言動をきっかけとして、友人に対する印象が変わって今までのようにはつきあえないと思うようになった経験がある。
 これがビジネスになれば利害関係が絡む為、余計に相手の言動は気になる。その為、好意を持ってパートナーとして付き合ってきた相手でも言動が気にいらない処があると嫌悪する感情に急に変化する事もある。
 そして、こうした感情は私が思っているだけでなく、相手も私のとった言動で私に対して持っていた好意的な気持ちが嫌悪に変わる事もある。
 それではどうして人はポジティブではなくネガティブな事に過剰に反応するのだろうか?長年付き合ってきた友達には相手の良い面を多く見てきた筈である。又、好意を持って付き合ってきた異性に対しては外見だけでなく内面も含めて相手に惹かれる面が多くあった筈だ。それが相手が取った嫌な言動に対しては何故、過剰に反応して、急に相手に対する好意は失われていくのだろうか?
 こうした事は人だけでなく会社にも起こる。名門と言われる企業は長年にわたり、消費者に好まれる商品を届けて心地良いサービスを提供し続けてきた。それが何らかの不祥事を起こして消費者の信頼を裏切ると、一瞬にして企業が築き上げてきた信頼感は無くなる。
 そうした人間のネガティブな事に引かれる特性に対して、キム・キャメロンという経営学者は人間は本来はポジティブな事が好きで、物事をポジティブにとらえる傾向があるとPOS(ポジティブ組織論)で述べている。そしてキム・キャメロンは人間は強み・能力・可能性のプラスの側面を重視して、本能に根差した良きものへのこだわりがある。又、植物が太陽に向くように人間はポジティブなエネルギーを求めるとした。
 このようにポジティブに物事を見るのが人間が本能であるが、ネガティブな出来事を恐れて大きく影響されるという相反する面も人間は持ち合わせている。だから、友人を良く思い親しくしていたいと言う気持ちがあるのに、友人のとったちょっとした言動で急に相手に対する思いが変わる事がある。
 そうしたポジティブとネガティブな相反する両方の側面を持っているからこそ、人は意識してポジティブな面に目を向ける事が必要である。友人や恋人の言動で気になる嫌な面は、実は自分が内面に持っている嫌な面だから気になって相手に対する感情も悪くなるのだ。
 ネガティブに思う原因は何なのか?自分の内面を見つめ直して、出来るだけポジティブな事を意識していく事が必要だ。
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