第20話 イントラパーソナルダイバーシティ

文字数 1,335文字

 個人内多様性、ひとりダイバーシティとも言われるイントラパーソナルダイバーシティという言葉がある。ダイバーシティは多種多様な人格、個性を持った人達が組織のなかでお互いの違った価値観を認めて一緒に共存している事で、そのダイバーシティでは「新しい知」に触れる機会が多くなり、自分が今まで体験して得た知見と繋げることで今までにはなかった新しい価値あるモノを生み出すことが出来る。
 確かに身近にある例では女性の考え方、行動の仕方は男性である私にとっては新鮮だと感じる事がある。「こういう考え方もあったのか」と気づかされることがある。そしてその女性の考えをそっくりそのまま取り入れることはないが、自分なりに咀嚼して取り入れていくことで自分が成長すると感じる事がある。
 又、年代による考え方、行動の仕方に違いがある。特に年を取ってくると同じ年齢の人達としか付き合わないようになるが、それでは視野が狭くなる。同じ年代の人は同じように物事を考えたり感じたりする事が多いが、年齢の離れた人達には彼等なりの常識やものの考え方がある。そうした彼等の考えに触れることで今まで見えなかった事に気が付くこともある。
 性別、年代だけでなく他にも人種や出身地など自分とは異なる人達と接触することにより、刺激を受けていい意味で自分が変わっていくのは大切な事である。
 だが、そういう私も10年位までは変わらないことが良いことだと思っていた。軸のぶれない芯の通った人間になりたいと思っていた。だが、変わらないことには限界がある。やはり時代の変化、環境の変化には敏感であるべきで、変えるべき処は変えなければならない。
 会社員は少し前までは会社を変わることは良くない事だと言われてきた。学校を卒業して会社に入社したら長く務める事が美徳であり、それが出世にも繋がると言われていた。
 それが今は変わったのだ。環境変化が速くて先の予測が難しい現代では、出来るだけ多くの職種や会社を経験した人の方が価値が高いという考えだ。何故なら多様な経験を積んだ人は、豊富な人脈や経験を活かして状況に柔軟に対応出来て問題を解決する事が出来るからだ。又、自分ひとりの中で多様な経験から得られた知見を繋ぎ合わせて新たなモノを創り出す事もできる。それがひとりの個人の中にいろんな面を併せ持っている個人内多様性・イントラパーソナルダイバーシティというものだ。
 確かに一つの会社だけでなく、多くのな会社で働いた経験を持つ人は多様な人と接する機会があり、そのことで得られる多くの経験、知見を持っている。そして、そうした人材が多い会社はいろいろな知見を合わせて新しい価値あるモノを創り出す事も出来る。その為、大会社でも最近では将来を期待されている人材には、多くの経験を積んでもらうためにあえて子会社に出向させるケースもあるようだ。以前では子会社に出向というと、何か仕事でミスをしたとかマイナスな意味で捉えることが多かったが今は違うようだ。出来る社員ほど会社の将来のために、子会社に出向させられるのだ。
 今まで良いとされていたことがそうではなくなり、逆にあまり良くないとされていたことが評価を受ける、時代とともに社会や会社の常識も変わっていくものだ。
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