第11話 一時的競争優位性の時代

文字数 665文字

 かつては会社に忠誠心を使い、会社という組織があっての個人があると言う時代があった。それが今や崩れてきている。その理由は、以前は会社が作り出した製品を市場に出して売れると長い期間の販売好調を維持出来る持続的競争優位性の時代だった。
 それが市場には次から次へと新製品が投入されるようになると、以前のように長い期間の販売好調を維持するのが難しくなった。会社がロングセラーを抱えている時代は会社の業績も安定していた。そして、そこに働く会社員は会社に忠誠を誓い、上司を立てて働いていれば会社での出世も期待出来て給料も上がっていくのが会社員の目標だった。
 それが次から次へとヒット商品の改良品や代替品が出てくる時代では、会社の業績は安定しない。会社も同業他社の動きを気にしながら次なるヒット商品を常に開発しなければならなくなったのである。そういう時代では単に上司の言う事を素直に聞いているような社員は必要とされなくなってきた。
 今の時代は、上司に言われなくても新しい事に関心を持って勉強して自律的に成長する人材が活躍するようになったのである。会社に対して忠誠を誓わないで個人で人脈のネットワークを広げて弱い繋がりを多く持つ、会社からは自立した人材の方が世の中の新しい動きにも敏感に反応出来るのである。
 持続的な競争優位性の時代が終わって一時的競争優位性の時代になつた今、個人は会社には頼らないで自立して能力を磨き、人脈を作ってどこの会社でも通用するような人材を目指すべきである。

参考文献「競争優位の終焉」リタ・マグレイス 日本経済新聞出版社
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み