(3)

文字数 913文字

「こ……ここ、どこですか?」
「関門海峡……かな?」
 あの後、もう1台入って来たトラックにコンテナは積み替えられた。
 ボクと兄さん(ただし「兄さん」と呼ぶと怒られる)は、そのコンテナに飛び移り……隙を見てコンテナの中身を確認する事になったが……。
 トラックは高速道路に入り……そして……。
『今、門司(もじ)のチームが後を追ってる』
「山口県内で一休みしてくれればいいけど……」
 もし、このトラックが自称・政治結社だけど事実上は暴力団の「神政会」が支配してる広島県に入るとマズい事になる。
 と言っても……山口県内にもテロ組織である「正統日本政府」や「シン日本首都」の支持者が地方議会を牛耳ってるような自治体がゴロゴロ有るので、関門海峡を渡った時点で、結構、洒落にならない。
 ところが海を渡って山口県内に入ってみると……。
「高速から下りませんでしたか? ここ……一般道じゃ?」
「どこに行く気だ、一体?」
 気付いた時には、道路上には普通に信号が見えたり、道の両側には民家やアパート・マンションが見えるような道だった。
「あの……あれって?」
 ボクは進行方向に対して左側を指差す。
「山陰か……目的地がもっと先だとすると……広島に入るのを避けてるのか?」
 ボクが指差した方向には……日本海らしい海が見えて……。
「GPSが正しいんなら……そろそろ島根との境みたいですね……」
 太平洋側なら……朝日は海の方向から上る筈だけど……実際には海の反対側に朝日が見える。
 一応は片側2車線の幹線道路らしいけど……。
 やがて、トラックは道路沿いのファスト・フード店の駐車場に入る。
 そして……トラックの運転席と助手席から合せて2人の男が下りて来て……。
「え……っと……」
「ここまで不用心過ぎると……罠にしか思えないな……」
 そう言いながら、ボク達はコンテナから飛び降りる。
 人間形態に戻って、リュックから目出し帽と軍手を取り出して装着。
 トラックの乗員が誰も居ない事を確認した後、コンテナの鍵をピッキングして……。
「何の箱だ、一体?」
 コンテナを開けると、そこには無数の段ボール箱。
「大きさの割に重いですね……」
「すぐに閉じて、この箱の中身の確認は後にするか……」
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