(4)

文字数 671文字

「で、今日から次に行くのか?」
 ニラ入りの炒り卵にサラダ。ご飯は土鍋炊き。大量の漬物。味噌汁だけはインスタント。
 朝御飯を食べながら、クソ女は千明師匠にそう言った。
「え……えっと……次って……?」
「思ったより覚えが早いんで、次の段階の練習をやる」
「って……今日からキツくなったりとか……」
「体力的にはともかく、難しくはなるな」
 朝食の後、少し休んだ後、一時間以上の柔軟体操と受け身の練習。
 今日は、クソ女も何かを入れたリュックを急い、屋上まで上がる。
 そして……。
「え……と、これ何?」
 クソ女は、2m弱×2m弱ぐらいのシートをリュックから取り出して……。
「今のお前なら何とかなる程度の攻撃をやる。それを避けたり捌いたり受けたりしてみろ」
 千明師匠は、そう言いながら、練習用の棒をあたしに投げ、あたしは、それをキャッチ。
 3つに折り畳んでいたものを展開し、2m弱の棒に変える。
「ただし、そのシートの中から出るな。棒の先端も、その中から出すな」
「へっ?」
「準備はいいか?」
「は……はい」
 そして……。
 突き。
 上からの攻撃。
 横から……斜めから……下から……足下を払われ……。
「う……うわ……うわ……」
「今日の反省会は長くなりそうだな……」
 クソ女は、あたしが師匠の攻撃を躱したり(正確には躱せてない)、捌いたり(捌けてない)、受けたり(実は何発も当たった)してる様子をビデオで撮りながら、呑気そうにそう言った。
「おい、戻れ。棒だけじゃなくて、体ごとシートから出てるぞ」
「は……はいッ‼」
「……誰でも最初はそうだが……先は長いな……気長にやれ」
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