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文字数 537文字

「もっと力を入れろ。ボクシングのジャブみたいな感じじゃなくて、一発一発に全身の力を込めろ」
「二三〇、二三一、二三二、二三三……」
 続いて、あたしはボクシング用のパンチングミットを何発も殴らされた。
 まずは、拳を三〇〇、掌底で三〇〇
「ここからは当てる事を考えてやれ。全発、全力じゃなくていい。必要だと思うなら緩急や強弱を付けろ」
 続いて、パンチ・蹴り・掌底・肘・膝、好きにやっていい、って条件で六〇〇。
 受けるのはクソ女と千明師匠が交代で。
 でも……。
 こっちは、少しはパンチングミットじゃなくて、相手の体に当てるつもりなのに……計一二〇〇発の内、一発も当たらなかった。
「少し休んだら、次は、お前が受けてみろ」
「は……はい……」
 水分を補給し……呼吸を整え……。
 まずはクソお……えっ……えっ……えっ……?
 全部寸止めだったが……一〇発連続で受けられなかった。
「手先だけを見るな。相手の全身を見ろ。特に、胸と足」
「は……はい……」
 更に一〇発。
 受けられない。
 続いて……数えるのも嫌になったけど……全く受けられない。
「まぁ、コツを掴むまで時間がかかりそうだが……さっき言った事を意識しろ。最初から巧くいかないのは誰でも同じだ」
「は……はい……」
 本当に先は長そうだった……。
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