(4)
文字数 1,553文字
「巧く噛み合ってねえな、こりゃ」
そう言ったのは……茶髪のボブカットの女。
「お前が教えたら、お互いの長所を潰し合うだけだな」
続いて、そうコメントしたのは金髪の五分刈りの女。
「何かイマイチ……」
最後に銀髪の白人の女がそう言った。
「この人達……誰?」
あたしは、あたしとクソ女の稽古を横で眺めている3人を指差して、そう訊いた。
「知り合いだ」
今日、クソ女の家に行ったら、稽古の前に三〇分以上、柔軟体操をやらされた。
クソ女基準では、あたしはかなり体が固いらしく柔軟体操が終る頃には、クソ女は「やれやれ」と云う表情 になっていた。
それから一時間近く、素手VS素手という条件で組み手。
何で勝てないかが全く判らないほどの絶望的な腕の差だった。
その間に、気付いた時には見物人が3人。
「じゃ……何が噛み合ってないか実演してみるか」
金髪短髪が、そう言って、強化プラスチック製らしい六〇㎝ぐらいの黒い棒をクソ女に投げ渡す。
「よし、じゃあ、来い」
「ああ……」
金髪短髪の女はリュックサックの中から……え? あんなモノ、どうやってリュックの中に入れてたの?
金髪短髪の女の手には……一八〇㎝ぐらいの白っぽい棒。
一方、クソ女が受け取った黒い棒も同じ位の長さに変っていた。
どうやら、クソ女の黒い棒は折り畳み式だったらしい。
けど……金髪短髪の女の手に有る白い棒には……折り畳む為の機構 がパッと見では見当らない。
そして……。
打つ。
払う。
突く。
避ける。
「打てば剣、振れば薙刀、突けば槍」
どこかで聞いたかも忘れた……そんなセリフが頭に浮かぶ……。
棒と棒の戦いじゃなくて……完全に、時に剣、時に槍に変る武器同士の戦いだ。
その時……。
あれ?
金髪短髪の女の方が押してるけど……でも、微かな違和感……。
そうだ……今まで、2人とも棒を真横に振る事は無かったのに……今は違う……。
真横に何度も何度も……それも……鞭か何かみたいな、目にも止まらないスピードだ。
クソ女は、それを、かろうじて避け……。
えええええ?
何やってんの?
とんでもないスピードで棒が振られてるその中に、思いっ切り自分から突撃して……。
へっ?
金髪短髪の棒は……地面に突き立てられたクソ女の棒で止められ……。
いや……棒じゃない……。
金髪短髪が使っていたモノの正体は……単なる棒じゃなくて、中国武術の多節鞭に似た……いくつもの短い棒を綱で繋いだ武器。
「理屈では、相手の懐に飛び込むのが正解だ。あの武器は、威力もスピードも一番先が一番デカい」
茶髪のボブカットが、そう解説。
「理屈では、そうでも……出来る人居る?」
「あそこに居るよ」
銀髪の白人がクソ女を指差す。
クソ女は棒高跳びの要領で、棒の上端を掴んで金髪短髪の顔に蹴り。
金髪短髪の女は多節鞭を手から放してクソ女の蹴りを払う。
「おい、それ、あたしが、そいつをやっつけた時に使った技だぞ。二度も通じるか」
茶髪のボブカットが、そう声をかけた。
「残念だか、その先が有る」
クソ女は、バランスを崩さず着地し……。
え?
えっ?
えええええッ⁉
「それ、有りなのッ⁉」
「有りだ」
そう言ったのはクソ女。
「悔しいが私の負けだ」
続いて金髪短髪。
「これが、あいつがお前の師匠に……お前が、あいつの弟子に向いてない理由だ」
「キミの戦い方は綺麗過ぎる。ランくんはキミに基本は教えられるけど……キミがランくんの戦闘スタイルを真似るには、キミが今まで身に付けたモノを一端全部捨てるしか無い」
「どんな戦い方よッ⁉ 軍隊式か何かッ⁉」
「でも、お前の師匠も、元は軍人だろ……特務憲兵隊の魔法部隊所属だけど」
そう言ったクソ女は……ど こ か に 隠 し 持 っ て い た 鎌 の よ う な 形 の ナ イ フ を 金 髪 短 髪 の 女 の 首 筋 に 突 き 付 け て い た 。
そう言ったのは……茶髪のボブカットの女。
「お前が教えたら、お互いの長所を潰し合うだけだな」
続いて、そうコメントしたのは金髪の五分刈りの女。
「何かイマイチ……」
最後に銀髪の白人の女がそう言った。
「この人達……誰?」
あたしは、あたしとクソ女の稽古を横で眺めている3人を指差して、そう訊いた。
「知り合いだ」
今日、クソ女の家に行ったら、稽古の前に三〇分以上、柔軟体操をやらされた。
クソ女基準では、あたしはかなり体が固いらしく柔軟体操が終る頃には、クソ女は「やれやれ」と云う
それから一時間近く、素手VS素手という条件で組み手。
何で勝てないかが全く判らないほどの絶望的な腕の差だった。
その間に、気付いた時には見物人が3人。
「じゃ……何が噛み合ってないか実演してみるか」
金髪短髪が、そう言って、強化プラスチック製らしい六〇㎝ぐらいの黒い棒をクソ女に投げ渡す。
「よし、じゃあ、来い」
「ああ……」
金髪短髪の女はリュックサックの中から……え? あんなモノ、どうやってリュックの中に入れてたの?
金髪短髪の女の手には……一八〇㎝ぐらいの白っぽい棒。
一方、クソ女が受け取った黒い棒も同じ位の長さに変っていた。
どうやら、クソ女の黒い棒は折り畳み式だったらしい。
けど……金髪短髪の女の手に有る白い棒には……折り畳む為の
そして……。
打つ。
払う。
突く。
避ける。
「打てば剣、振れば薙刀、突けば槍」
どこかで聞いたかも忘れた……そんなセリフが頭に浮かぶ……。
棒と棒の戦いじゃなくて……完全に、時に剣、時に槍に変る武器同士の戦いだ。
その時……。
あれ?
金髪短髪の女の方が押してるけど……でも、微かな違和感……。
そうだ……今まで、2人とも棒を真横に振る事は無かったのに……今は違う……。
真横に何度も何度も……それも……鞭か何かみたいな、目にも止まらないスピードだ。
クソ女は、それを、かろうじて避け……。
えええええ?
何やってんの?
とんでもないスピードで棒が振られてるその中に、思いっ切り自分から突撃して……。
へっ?
金髪短髪の棒は……地面に突き立てられたクソ女の棒で止められ……。
いや……棒じゃない……。
金髪短髪が使っていたモノの正体は……単なる棒じゃなくて、中国武術の多節鞭に似た……いくつもの短い棒を綱で繋いだ武器。
「理屈では、相手の懐に飛び込むのが正解だ。あの武器は、威力もスピードも一番先が一番デカい」
茶髪のボブカットが、そう解説。
「理屈では、そうでも……出来る人居る?」
「あそこに居るよ」
銀髪の白人がクソ女を指差す。
クソ女は棒高跳びの要領で、棒の上端を掴んで金髪短髪の顔に蹴り。
金髪短髪の女は多節鞭を手から放してクソ女の蹴りを払う。
「おい、それ、あたしが、そいつをやっつけた時に使った技だぞ。二度も通じるか」
茶髪のボブカットが、そう声をかけた。
「残念だか、その先が有る」
クソ女は、バランスを崩さず着地し……。
え?
えっ?
えええええッ⁉
「それ、有りなのッ⁉」
「有りだ」
そう言ったのはクソ女。
「悔しいが私の負けだ」
続いて金髪短髪。
「これが、あいつがお前の師匠に……お前が、あいつの弟子に向いてない理由だ」
「キミの戦い方は綺麗過ぎる。ランくんはキミに基本は教えられるけど……キミがランくんの戦闘スタイルを真似るには、キミが今まで身に付けたモノを一端全部捨てるしか無い」
「どんな戦い方よッ⁉ 軍隊式か何かッ⁉」
「でも、お前の師匠も、元は軍人だろ……特務憲兵隊の魔法部隊所属だけど」
そう言ったクソ女は……