新たな魔人

文字数 1,025文字

 ラミッタが辿り着いたのは、ちょうど中継地点の街『ルカラカ』だ。

 警鐘が鳴り響き、街は大騒ぎになっている。

 魔物を確認すると、ラミッタは一直線に突っ込んでいった。

「お、おいアンタ、そっちには魔物が!!」

 駐屯している兵士は向かってくる魔物を一体一体倒していたが、突っ走るラミッタを見て叫ぶ。

 魔物とかち合うと、ラミッタは一撃二撃と剣で魔物を斬り捨てる。

 足で地面を強く踏むと、そこら中から土の槍と雷が打ち上がった。

「なっ!?」

 それを見ていた兵士は驚きの声を上げる。上級の冒険者だろうかと考えていた。

 少し遅れてマルクエンも街に到着する。汗の一滴も垂らさず、ラミッタの加勢に入った。

「宿敵!! 遅いわよ!!」

 ニヤリと笑いながらラミッタは敵の数を減らし続ける。

「あぁ、すまんな」

 マルクエンの大剣は一振りで三体もの魔物を斬り捨てた。

 たった二人で前線を押し上げる。街に居た冒険者や兵士はその後に続く形となった。

 様々な種類の魔物を蹴散らしながら行くと、緑色に光る箱が見える。

 そこから魔物が現れだし、こちらへ向かってきた。

「な、何だアレは!?」

 マルクエンが驚いて言うと、ラミッタも呟く。

「分からないけど、素敵なプレゼントボックスじゃない事は確かね」

 ラミッタが氷魔法を飛ばし、箱を攻撃する。わずかに外側がへこんだのが見えた。

「宿敵!! そっちは任せるわ! ぶった斬ってきなさい!」

 回りの魔物を片付けながらラミッタは言う。マルクエンは雄叫びを上げながら箱へ向かい走る。

「どりゃああああ!!!」

 筋力強化を使い、数十倍の力で剣を箱に叩き付けた。

 すると、箱は砕け散り、魔物が現れることも無くなる。

 後は残った魔物を掃除するだけだなと、マルクエンも戦いに戻った。




「これでラスト!!」

 最後の一匹を斬り捨てラミッタはふうっとため息をつく。

「ふぅー、いい運動になったわ」

「あぁ、そうだな」

 そんな事を二人が言い合っていると、上空から声が聞こえる。

「まさか、こうも早く転生者が来るとは」

 驚いて上を見る二人、気配すら感じ取れなかった。

「アンタは……。魔人!?」

「いかにも」

 どうやら今までに会った事の無い魔人だ。

「そう、だったら降りてきなさい。ぶっ倒してあげるわ」

「ふん、人間の指図など受けぬ」

「ふーん、それじゃそのまま倒してあげる」

 ラミッタは手から火の玉を打ち出す。魔人は(かわ)そうとするが、火の玉は後をずっと追いかけ続ける。

「やはり、中々やるな。小賢しい」
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