第21話「2ヶ月ぶりのバス停」
文字数 784文字
11月になり肌寒い季節がやってくると、僕は自転車通学の際に手袋を装着するようになった。
とある火曜日、登校してすぐに廊下で彼女と顔を合わせた。
およそ2か月ぶりになる。
そして放課後。僕らは並んでバス停の方に歩いていると、彼女が思い出したように僕の顔を見て聞いた。
彼女は微笑みながら足元の方に顔を向けた。
彼女はからかうように僕の真似をして目を合わせた。僕はなんだか懐かしい気持ちになり、お互い同じように笑った。
僕が目指している大学は2つ隣の駅なので、実家から通学する予定だ。彼女が目指す大学は12個離れた駅にあり、一人暮らしをする予定らしい。
彼女は小さく笑った。
顔が熱くなった。
そういって彼女は僕の頬を小突く。このやり取りも懐かしい。
彼女はニヤリと笑いながら僕の顔を覗き込んだ。
彼女はまたクスリと笑った。
それから僕達は試験に向けて勉強に集中し、一緒に帰ることはなくなった。