第7話 黄金の子牛は
文字数 1,090文字
しんみりしてしまったその場の空気。
ヴァグネルが必死に取り繕います。
怖いものなしを装う若者たち。
ヴァグネルが挑発するように、陽気な歌を歌います(「ネズミの歌」)。
すると、その挑発に乗るかのように現れた人物がいます。
第3場
人々は思わず口をつぐみます。
この異様な雰囲気は何でしょう?
ワグネルが歌をやめてしまったので、メフィストはニヤニヤしながら彼の元へ。
オーケストラが煽情的な前奏を始めます。ここから悪魔メフィストによる有名な歌が始まります。
「黄金の子牛は神様方の征服者」という歌です。
金の子牛は神々の征服者
その栄光の中に 傲慢なモンスターは天国を罵る
おお、奇妙な狂気よな
人間どもがその足元に押し寄せるのを見てるぞ
剣を手に、血や泥にまみれてる
金貨がギラギラと燃える
そして悪魔がダンスをリードするのだ
金の子牛というのは、邪教のシンボルとして旧約聖書に登場するものだそうです。
実際に古代世界では、牛を信仰の対象とすることが多くありました。
19世紀の人々にとっては、聖なるキリスト教世界に対立する概念だったんだろうね
魔法で人々をたぶらかすメフィスト。
人気の歌については動画がたくさんありますが、この「Le veau d'or(黄金の子牛は)」もそう。良かったらフランス語で検索してみてください。
奇抜な演出の動画もありますが、まずはオリジナルの雰囲気に近いこちらをどうぞ。
古い映像ですが、こちらはメフィストの歌がとにかく素晴らしいです。
戦後最高とうたわれたブルガリアのバス歌手、故ニコライ・ギャウロフさん。邪悪さぶっちぎりの歌を、ぜひご堪能下さい!