第31話 『ロメオとジュリエット』

文字数 1,851文字

さてさて、グノーのもう一つの代表作オペラを当ててみてね〜と申し上げたんですが……

タイトルにしたから思いっきりバレちゃいましたね(笑)

何やってんだ、ここの作者
『ロメオとジュリエット』か〜!

確かにシェイクスピアなら文句なしの大文豪だね。

ゲーテといい、グノーは文豪と相性が良かったのかな(笑)?

ヒットするかどうかは、運もあるよね。

でも文豪原作が受けたことには、作品の知名度が影響してるのかも

しかし『ロメオとジュリエット』もオペラになってたんだな

シェイクスピアのあの作品からインスピレーションを得た音楽家は多いんだ。


有名な曲だけでも、グノーがオペラを作ったほか、プロコフィエフはバレエ音楽を作り、チャイコフスキーは演奏会序曲を……といった具合

あの話なら知ってるぞ。

二人の家が仇敵同士だったってやつだな

うん。この物語については皆さん説明不要ですね
いやあ……

細かい所は忘れちゃったよ(汗)

最後、二人は死んじゃうんだぜ

(ちょっと得意げ)

そうなのです。

モンタギュー家とキャピュレット家という二つの家の抗争が続く中、それぞれの家のロメオとジュリエットは運命的な恋に落ちます。当然、周囲は反対。二人は何とか結ばれようと行動するも、ラストで死に至ってしまうのです。

二人は世の掟に背いてしまったんだよね。悲劇中の悲劇です
切ないなぁ……。

中学生、高校生ぐらいの子って、一番危険なんだよね。ちょっとしたことですぐに死を考えてしまうというか

彼らは今の中高生と同じなのか?
思春期の危うさは、いつの時代も変わらないね。

でも個人と組織の葛藤は、大人でもよくあること。多くの人の共感を得ている理由はここにあるんじゃないかな

戦争してる奴らが悪い!
ホントだよ。その中にいる人は、身が引き裂かれる思いだよね。

かわいそうに……

そう。このオペラも紛れもない悲劇。でも冒頭は人々が平和を願う内容になってるよ。二人の遺体を前にした人々が、争いの虚しさを感じ、祈りを捧げるといった演出もあります
合唱の歌詞の一部:

「むごい運命!  不幸な恋人たちは その命と引き換えに積年の憎悪を終わらせた」

一日も早く平和になりますように、ってことだね
どこかの国の政治家に聞かせてやりたいね
で、グノーの曲ですが、第一幕のジュリエットのアリアは明るく可愛らしくて、コンサートなどでも大人気です
というわけで、オペラ『ロミオとジュリエット』より「私は夢に生きたい」を聞いてみましょう!
時は14世紀のヴェローナ。

名家のキャピュレット家では仮面舞踏会が開かれています。(宿敵モンタギュー家の男たちがこっそり紛れ込んでいます)


父親のキャピュレット卿が娘のジュリエットを紹介すると、みんなその美しさにため息。

だけど……

(乳母です)

お嬢様。もっとおしとやかになさってください!

パリス伯爵とのご結婚を控えていらっしゃるのですから。

私がお嬢様の年には、結婚していましたよ

(ジュリエットです)

結婚なんて嫌よ。私はまだ恋も知らないんだから

(ここからアリアです)
ああ、私は夢に生きたいの
甘い炎は宝物のように

心の中にとっておくわ

若さゆえのこの酔い心地
続かないのよ、わずかな間しか!

……

暗い冬よ、どこかへ行って

私をまどろんだままにさせて

そして薔薇の花が散る前に、その香りを嗅がせてね

この後、彼女にはロメオとの運命の出会いが待っているというわけです。
おお〜、恋に恋してる乙女って感じ
グノーらしい、優雅なメロディーだよね。

三拍子っていうところも、彼女の可愛らしいキャラを表しているのかも

昔のピッチピチギャルだな
動画のディアナ・ダムラウさんはこの時40代ですが、演じているのはバッチリ10代の少女!
う、う〜ん、ちょっと厳しいか……
ま、おてんば娘という雰囲気ですが、高貴さや初々しさも感じさせるところがさすがですね
ベテランの演技力だな〜。

ジュリエットが無垢な少女だからこそ、後の展開が痛々しく感じられるんだよ、きっと

ここで突然、はぁーっとため息をつくサバ君。

何ていうか、欧米の話ばっかりで飽きてきたな……

いやいやサバ君、オペラはヨーロッパで発達した文化なんだから、そこはしょうがないでしょ
フッフッフ(笑)
な、何、その笑いは?

そろそろそんな声も出るだろうと思ってね。

次は全然違うのを行ってみるよ

え、ヨーロッパが舞台じゃないオペラもあるの?
あるよ。オペラにはエキゾチックな演目も少なくないんだ
まじか!

っていうか、そういや古代エジプトとかもあったな

そうなの。

というわけで、次回はビューンと古代の中国に飛んでみましょう!

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