バイブル・スタディ・コーヒー ~スラスラ読める! 聖書入門

作者 mika

[歴史]

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バイブル・スタディの仲間たちの会話をちょっとだけ覗いてみてください。
寝ころんでスラスラ読める! 「物語」がわかれば、聖書は楽しい。
聖書を最初から最後まで読み通すのは大変です。途中でいやになってしまうことも珍しくないでしょう。
なんとなく難しそうでも、聖書のことばの向こうには、豊かな歴史と文化が広がっています。
どなたでも、実際に聖書を読んでみようというかたのお役に立てればうれしいです。


アイコンはTopeconHeroesダーヤマ様の「ダ鳥獣戯画」より使用させていただきました。

ファンレター

異人歓待

見知らぬ人って怖いものです。みすぼらしい旅人なんか泊めたら、そいつは強盗かもしれないし、変な病気をうつされるかもしれないし……と古代の人だって思ったはず。
そんな恐怖を乗り越えて歓待しなければならないって、確かにすごい掟ですよね。ホスピタリティーって日本の「おもてなし」と同義と見られがちですが、もっと重たいものがありそうです。でも得体の知れない他者を受け入れない限り、差別も戦争もなくならない。古代の慣習も聖書も、そこを示しているのかな、と感じました。
アブラハムの歓待の場面、絵画のほか教会のモザイク画などにも多いようですね。それだけ重要な場面と見なされているということですね。

返信(1)

あおぞらさん、お読みいただきありがとうございます^^
おっしゃる通り、「恐怖を乗り越えて歓待しなければならない」というのは、現実には難しいですよね。異人歓待の根底には見知らぬ他者への恐怖があるのだと思います。現実的な対応としては、来訪者を冷遇したり、時には旅人を殺して財産を奪ったり、などといったことが多く行われていたのではないかと思います。客人法を破る人々は聖書では、この後のソドムの人々のお話で書かれています。
共同体全体の利益を考えれば、来訪者は新しい知恵や技術を持っている可能性があるので、積極的に受け入れた方が良い。しかし、実際には異邦人差別の感情があり、受け入れるのが難しい。現代でさえ、難民や移民の受け入れをめぐって世論が分裂し、移民排斥運動が起こったりしています。だから、異人歓待の説話では来訪者を受け入れる者は富や幸運を得て、来訪者を受け入れない者は不幸になるという説話を伝えることで、来訪者を排斥してはいけない、と戒めているのかな、と感じます。

アブラハム自身が旅をして暮らしてきたので、移住するたびに、どんな隣人と出会うか未知の恐怖があったはずです。ハランを旅立ってカナン地方に入ってから、一つの場所に長く留まっていません。エジプトからカナンに戻って、ロトと別れた後に、ヘブロンのマムレの樫の木のところに来て、ようやく腰を落ち着かせ、かなり長期間の滞在をしています。それはアモリ人のマムレがアブラハムを快く受け入れてくれたからではないかと思うんです。アブラハムはマムレの「良き隣人」として暮らしていたと書かれています。マムレは、エジプトから来た得体のしれないヘブライ人を受け入れてくれたわけです。すごいですよね。
拠り所のない旅暮らしの苦しさがわかるから、アブラハムは見知らぬ外国人に対して親切にできたのかな、と想像しています。

次回はソドムの執り成しの場面です。ソドムの滅亡の話に向かっていきます。引きつづきお楽しみいただければ幸いです!