桐一葉

作者 桐乃桐子

[日記・個人ブログ]

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梧桐一葉落天下盡知秋

(アオギリの一葉が落ちて天下の秋を知らせる。)

ファンレター

「第49話 生理の貧困」を拝読しました

桐乃さん、はじめまして。「第49話 生理の貧困」をお読みして、とても勉強になりました。
「生理の貧困」と言えば、以前から途上国の女性を支援する活動でよく目にする言葉でした。清潔な布ナプキンや月経カップの普及に取り組んだり、生理中の女性を隔離する慣習(月経血を不浄とする伝統宗教に基づく)を無くすための取り組みがあります。この慣習が完全になくなるまでは、まだ長い時間がかかると思いますが、ネパールでは2017年に正式に違法とされ、ようやく一歩前進したと言えます。

最近になって「生理の貧困」問題が日本国内にも潜在していたことが明るみに出て、わたしも驚きました。東日本大震災の避難所で長期支援活動をしていたとき、さまざまな物資が不足していたなかで、生理用品も間違いなく不足していたことを思い出します。
しかし桐乃さんが取り上げておられる貧困問題は、災害時の特殊な問題ではなく、平時の毎日の日常の中で、学校に通う少女たちに潜在していた問題なのですね。

生理用品が買えないほどの窮乏であれば、福祉事務所の応急援護サービスを受けてほしいし、支援を必要とするかたに行政支援についての情報が届いてほしいです。
行政と民間が一緒に行っているフードバンクのシステムがすでにあるので、援助物資の中に食料品だけでなく、トイレットペーパーや生理用品、おむつなどの必須日用品を組み込めば効率的に支援できるのでは、と考えました。
ホームレス支援の炊き出しやこども食堂などの取り組みに対しても、反対意見やバッシングがあります。なので、生理用品の無料配布に対しても、同じような拒否反応があるのは理解できます。
ご本人やご家族の経済状況をなんとかしなければ、根本的な解決にはならないかもしれませんが、いのちや尊厳を守るための緊急の応急的な支援は必要だと思います。

さらに、経済問題とは異なる家庭的な問題によって、生理用品が手に入らない少女たちがいるということを、桐乃さんご自身の体験を交えて教えてくださり、どうもありがとうございます。
スティーブン・キング原作の「キャリー」という映画を思い出しました。主人公の少女は、母親によって月経の知識を故意に与えられていなかったため、初潮を迎えてパニックを起こし、それがきっかけでクラスメイトから壮絶ないじめを受ける、痛ましい物語です。
家庭内の理由で、少女たちが生理用品や正しい知識を得られない問題は、外から見えにくいため、どう支援すればよいのかすぐには思いつかないです。桐乃さんの最後のお言葉が本当に胸に刺さりました。
長々と失礼しました。非常に考えさせられるテーマを書いてくださり、感謝いたします。

返信(1)

mikaさん、はじめまして。
拙作を読んでくださった上にご感想までいただけて、とてもうれしいです。ありがとうございます!

わたしも、途上国ではなく先進国といわれる国内での生理の貧困問題を知ったとき、とても驚きました。
しかもこの問題はどうやら日本だけではなく、欧米でも起きているとのことで。生理用品が確保できないため、その期間は学校を休まなくてはならない少女もいると知って衝撃を受けました。
途上国での取り組みについて教えてくださり、ありがとうございます。
二十年くらい前に読んだ本で、当時の大陸の奥地ではナプキンなどは手に入らないので、葉っぱをナプキンの代わりにして使っていたという文章を読んで、そのときもひどく衝撃を受けたのを覚えています。

自分たちの生活であたりまえに享受しているものが、ほかのひとたちにとってはそうではない場合がある、という現実を知ることは、そのあいだに横たわる隔たりを埋めるための第一歩だと感じています。
国内での生理の貧困は、おそらく以前からあったのだと思いますが、ネット上でよく目にするようになったのはここ数年のことだと認識しております。コロナ禍での不況がこの問題を可視化したのでしょうか。

ほんとうに。そう思います。公的な支援やサービスを利用してほしいと思いますが、そういった苦境にある方は、まずその情報までたどり着くのが困難だと聞きます。あるいは、公的機関が開いている時間帯は主に仕事のため、なかなか相談ができないとも。
フードバンクの救援物資に必須の日用品を組み込むというのは名案だと思います。実現してほしいです。

自分の話で恐縮ですが、わたし自身、いわゆるワーキングプアに属する経済状況だったことがあります。会社の都合によりシフトが減らされ収入が減るという典型的なパターンで。毎月、手取り十万以下で一ヶ月のやりくりをしました。家賃が安かったのと、自動車などの費用がかかるものを所有していなかったお陰でなんとか乗り切れましたが、そのときに、生理用品買うのキツいな、と思いました。
その後、掛け持ちで働いてなんとか持ち直し、現在に至りますが、わたしの場合は自分ひとりの食いぶちを稼ぐだけでよかったのでなんとかなりましたけれど、もし家族を養わなければならない立場だったら相当しんどいだろうなと思います。
自分がキツい思いをしたからこそ、いま、日常生活に支障が出るほど困窮している方は、受けられる支援やサービスは迷わず受けてほしい、そう思います。

『キャリー』のお話を拝見して戦慄しました。そんなひどい状況に追いつめられるなんて。
外側からは見えない家庭内での問題に介入して支援するのはとても難しいと、わたしも思います。おそらくですが、ほとんどの場合、こどもが成長して家を出て自立することでようやく物理的に逃げ出すことができるのではないかと。
それまでの苦労を思うと胸が痛みますし、なんとかならないものかと思わずにはいられません。

こちらこそ、細やかな情報や貴重なご意見を頂戴しまして、ありがとうございます。
末尾で失礼いたしますが、mikaさんの作品、以前から拝見しております。ものすごい情報量をとてもわかりやすく表現してくださって、いつも勉強させていただいております。
活動報告も拝見しておりました。療養されているなかで、ご丁寧なご感想をお寄せくださり、心よりお礼申し上げます。
どうぞご無理をなさいませんよう、ご自愛くださいませ。