バイブル・スタディ・コーヒー ~スラスラ読める! 聖書入門

作者 mika

[歴史]

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バイブル・スタディの仲間たちの会話をちょっとだけ覗いてみてください。
寝ころんでスラスラ読める! 「物語」がわかれば、聖書は楽しい。
聖書を最初から最後まで読み通すのは大変です。途中でいやになってしまうことも珍しくないでしょう。
なんとなく難しそうでも、聖書のことばの向こうには、豊かな歴史と文化が広がっています。
どなたでも、実際に聖書を読んでみようというかたのお役に立てればうれしいです。


アイコンはTopeconHeroesダーヤマ様の「ダ鳥獣戯画」より使用させていただきました。

ファンレター

アブラハムの物語

「主なる神は、虐げられた者たちの守り手」、アブラハムのエピソードから導き出される神の教えが染みわたるようでした。そしてmikaさんが多方面に渡る厚みのある知識の中から、コンパクトで響く言葉をピタピタと布石のように配置してくれるので、負担無く読み進められます。そしてその言葉は凝縮されているので宝石のよう……。
バカみたいな感想なのですが、「205年の生涯を終えて~」とかすべてが壮大で、読んでいると脳のバックヤードがザワつく感じで刺激的なんですよね。また一番最初の『創世記に挑戦しよう!』を読み返して復習しました。
私、聖書はさっぱりだったのですが、この連載はとても楽しみなのです。

(活動報告にコメントありがとうございます。とても勉強になります。それにしても、聖書や預言を、自分たちの都合のいいように切り取って利用する輩達には困ったものです)

返信(1)

佐久田さん、お読みいただきありがとうございます。「神の教えが染みわたるよう」とのお言葉、本当にうれしく、書いて良かったしみじみ思います^^
「主なる神は、虐げられた者たちの守り手」であることは、旧約と新約の両方の聖書を通して感じるメッセージです。旧約の神は「裁きの神」、新約の神は「愛の神」であるとよく言われがちですが、わたしは両方一貫して「愛の神」であると感じます。楽園追放やノアの箱舟などの有名な逸話しか知らないかたは「裁きの神」と思ってしまうかもしれません。でもちゃんと読めば、どんなに人が神に背いても、神は人を見捨てないでいる姿が描かれています。エデンから出ていくアダムとエバに身を包む皮衣を用意してあげます。弟を殺したカインをとがめましたが、神はカインが生きていくことをゆるし、復讐の手から守りました。今回のサライのエピソードも、神に信頼を置く者には神の愛が常に目の前にあるということを教えてくれます。
でも、アブラムのやらかしがこうして4000年後まで語り継がれるなんて、びっくりですよね。民族の祖ならば、神聖視・英雄視して、良いところだけを盛って書きそうなものですが、ユダヤの人々はアブラムの悪いところを包み隠さず書いているんです。これって面白いなぁと思います。
アブラムの父テラは超長寿ですよね! 創世記には超長寿の人物がいっぱい登場します。アダムは930歳まで生きたと書いてありますよ。神の祝福の象徴として長寿と多産があるので、実際の年齢というよりは、象徴的年齢なのではないかと思います。
佐久田さんのチャットノベルのおかげで、反ワクチン派の間で千年王国論が流行していると知り、とっても驚きました。いちおう説明しますと、ヨハネの黙示録20章1-7節に基づいた神学説で、最後の審判の前にキリストが再臨し、この地上で千年に渡って栄光ある王国を統治するという考え方です。アウグスティヌスは『神の国』第20巻の中で、千年王国は未来において実現するものではなく、イエスの最初の来臨からすでに始まっていると説きました。この解釈は、後にエフェソス公会議(431年)で正統とされ、未来に千年王国の到来を期待する解釈は異端とされるようになりました。しかし、前に書いたようにピューリタン革命の時代には、将来に千年王国を待望する考え方が革命思想と結びついて大流行しました。
アウグスティヌスの見解の前提には、もともと黙示録が書かれた時代背景があります。黙示録は、ローマ帝国でキリスト教徒が迫害されていた時代に書かれました。黙示録は厳しい迫害の時代がいずれ終わり、キリスト教徒にとって祝福の時代が必ず訪れるという希望を提示しています。ディオクレティアヌス帝がキリスト教徒たちを絶滅させようと本気出した時代をなんとか生き延び、313年のミラノ勅令で公認されました。したがって、迫害の時代の終わりとともに、アウグスティヌスが千年王国(キリスト教徒にとっての祝福の時代)がすでに到来したと考えるのは、ごく自然なことだと思います。